HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 41653 Content-Type: text/html ETag: "9f9bd-1644-689b080" Expires: Mon, 21 Mar 2011 01:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 21 Mar 2011 01:21:38 GMT Connection: close 放射能漏出 監視を強化し「食」の不安防げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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放射能漏出 監視を強化し「食」の不安防げ(3月21日付・読売社説)

 東京電力福島第一原子力発電所の事故は、沈静化を目指して、懸命の作業が進められている。

 外部から電源を引き込む工事や使用済み核燃料の貯蔵プールへの放水も、発電所員や自衛隊、消防隊員が、被曝(ひばく)量をにらみつつ続行している。

 電源が回復し、貯蔵プールに十分な量の水が入れば、状況の好転が期待できる。命がけの努力が実ることを改めて願う。

 ただ、放水を続けるだけでは抜本的な対策にならない。電源が回復しても、原発内の主要な機器が復旧するかどうかわからない。

 自衛隊ヘリによる上空からの破損状況の撮影データなどをもとに政府は、さらなる手段を、先手を打って検討しておくべきだ。

 事故で漏出した放射性物質による飲料水や農作物などの汚染も、不安を広げている。

 東京都などで水道水から放射性物質が検出された。ごく微量で健康に影響はない。福島県川俣町では17日、食品衛生法の暫定規制値をわずかに上回る放射性ヨウ素が水道水から検出された。翌日に規制値の半分に戻った。

 水道水は浄水の過程で、放射性物質をほぼ除去できる。

 政府が実施した食品の抜き取り調査で、福島、茨城両県で牛乳やホウレンソウが暫定規制値を上回るなどの例も報告されている。

 摂取しても直ちに健康に影響するほどの量ではない。政府は、この牛乳について、1年間摂取しても、被曝する放射線量は「コンピューター断層撮影法」(CT)1回分と説明している。

 冷静に対応しよう。

 しかも両県は、これらの食品について出荷自粛を求めており、市場には出回っていない。

 こうした検査と迅速な情報公開を、政府は都道府県と協力して徹底することが求められる。規制値以上の食品が見つかった際に即応できるよう、出荷停止や回収などの新たな規制も検討課題だ。

 風評被害を防ぐために、政府や都道府県は、検査の徹底で安全が確保できることを、国民に繰り返し、丁寧に説明すべきだ。

 これまで政府は、食品の放射能汚染を規制する基準を設けていなかった。重大な原発事故を想定していなかったためだ。

 今回は国際機関が提案した指針を暫定的に採用したが、日本人の食生活の実態に適しているかを検討し、過剰な規制も防ぎたい。

2011年3月21日00時54分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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