HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 21 Mar 2011 03:08:15 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:情報伝達 素早く的確に率直に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

情報伝達 素早く的確に率直に

2011年3月21日

 危機管理で重要なのは信頼できる情報の素早い発信である。隠したりぼかしたりすると疑心暗鬼を生み、かえって混乱を招く。メンツにとらわれない率直な情報伝達こそが国民を冷静にする。

 次第に改善されつつあるが東京電力の情報提供の混乱は目に余った。担当者が原子炉の状況について事実を正確につかまないまま記者会見に臨んだり、発表された停電の情報が誤っていたりした。

 危険にさらされている原発近くの住民、停電で生活に重大な影響を受ける人々が不安、いら立ちを募らせるのは当然だ。責任追及を恐れたりメンツにこだわった情報操作は事態を深刻にする。

 危機管理の基本は、国民が自分たちのおかれた状況を正しく理解できるよう、正確な情報を円滑に流すことである。確認できないことは「確認できない」とその理由とともに説明するべきだ。

 そのうえで最悪の事態に陥った場合の危険度を的確に示すのは、多様な情報を握っている側、とりわけ政府の責務であろう。

 率直さが当局や関係機関、企業などに対する信頼を生む。率直さを欠くと臆測、不安から混乱が拡大する。現に問題の福島第一原発から遠い地域の住民の間にも「安全」というだけの政府情報を信じないで避難する人が出ている。

 困難な避難生活を強いられている人たち、復旧に立ち上がった人々も正確な情報を求めている。

 道路寸断、輸送手段の不足などで救援物資の運搬が困難を極めているが、いまどこまで届いているのか、いつになったら自分たちが手にできるのかを知るだけでも被災者の気持ちはある程度安らぐ。状況に即応した情報伝達で被災者を「決して見放されていない」と勇気づけることが必要だ。

 国民に冷静な行動を呼びかけるだけでなく、冷静に行動できるよう的確な情報を素早く率直に開示することが欠かせない。

 それを伝える報道のあり方も重要であることは言うまでもない。報道を一歩間違えれば不安をあおったり、逆に油断を招くことになりかねない。

 一九七三年の第一次石油ショックの際、トイレットペーパーや洗剤の買いだめが広がり品不足に拍車をかけたのは、不用意な報道がきっかけだった。その苦い経験を教訓として生かしたい。

 

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