HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 20 Mar 2011 22:08:49 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:小学校三年のときに被災した阪神大震災で、両親と死別した神戸…:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 筆洗 > 記事

ここから本文

【コラム】

筆洗

2011年3月20日

 小学校三年のときに被災した阪神大震災で、両親と死別した神戸市の西山由樹(よしき)さん(25)は、二十一歳になって夜間定時制高校に入学した。<亡くなった父母への恨み何処(どこ)へやら 今では二人の分まで生きる>。校内集会で震災体験を初めて語った際に詠んだ短歌だ▼神戸新聞によると、西山さんは弟と親類宅を転々とし、祖父母に育てられた。「何で僕らを残して死んだんや」と両親を憎み、人間不信に陥っていた中学時代は髪を染め、バイクを乗り回したという▼二〇〇七年に高校に入り直すと、朝から建築現場などで働き、夕方から勉強した。教師の勧めで短歌を作りはじめ、閉ざしていた心が徐々にほどけ始めた▼東日本大震災でも、孤児になった子どもが数多くいる。目の前で家族が津波にのみ込まれる凄惨(せいさん)な場面を目撃した子どもにとって、その記憶は一生消えることのない心的外傷として残るだろう▼親と離れて避難している子どももいる。そうした子どもたちの心をケアするために、厚生労働省が現地に派遣する保育士ら児童福祉の専門家を全国で募ると、二百人を超える応募があった▼<震災で止まった時間今日からは 変えて見せるぞ名に恥じぬよう>。西山さんがこんな前向きな歌を詠める心境になるまで、十年以上の歳月が必要だった。孤児たちの辛(つら)い日々は始まったばかりだ。社会全体で見守りたい。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo