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3月20日付 編集手帳

 日本には「腕時計の針を電車の到着時刻で合わせられる」ような秩序があり、何事も予測がつく安心感がある。そんな国の人々が先が読めない大混乱に直面して、子供の頃から教えられた道徳を守り抜こうとしている。我慢が大切というものだ◆巨大地震に見舞われた日本人の姿を、米紙の記者はそう評した。英紙のコラムニストは、自分の身を守るより、棚から落ちる商品を必死で押しとどめようとする店員の姿に、「ひそかな献身」を見たと書いた◆過労死や援助交際など日本の負のイメージを強調しがちだった欧米メディアのほめ言葉は、面映(おもは)ゆい。殊に、たかが“計画停電”に通勤の足を奪われただけでうろたえていた己には◆もし我慢や献身が今も日本人の美徳だとすれば、それを最も失わずにきたのは、東北地方のお年寄りだろう。大津波はそんな人々の(つつ)ましい生活を奪い去った◆「物言わぬ」と言われる人たちは、避難先でテレビのマイクを向けられても、救援物資の遅れに怒りやいらだちを(あら)わにすることはまずない。「もう我慢しないでください!」。画面に向かって、思わずそう告げたくなる。

2011年3月20日01時30分  読売新聞)
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