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3月14日付 編集手帳

 「遠く離れた…」と言うとき、人はどのくらいの距離を思い浮かべるだろう。〈ほととぎす自由自在に聞く里は酒屋へ三里豆腐屋へ二里〉。不便と同居する風流人を詠んだ歌にもあるように、2〜3里(1里=約4キロ)はじゅうぶんに遠い距離と誰もが思う◆今回の東日本巨大地震では人家と樹木を根こそぎにして、海岸線から“遠く離れた”2〜3里も先、10キロほど内陸に入った地域にまで津波がおよんでいる◆身を省みて、津波とは堤防の釣り人や海沿いの住民が警戒するもの――という思いこみがなかったとはいえない◆地震発生から津波来襲まで、最も早い地域ではわずか30分であったという。津波を伴う地震はどこで、いつ起きてもおかしくない。「きょう」かも知れないその時、限られた時間内にどう行動するか…。海とも陸ともつかぬ無残な光景が問うている◆ニュースに耳をすますたび、何十人の単位で死者・不明者が増えていく。ほんとうならば教訓うんぬんはひとまず後回しにして、いまはただ犠牲者に瞑目(めいもく)し、不明者の無事を祈るときだろう。地震大国の冷酷な現実が、それを許してくれない。

2011年3月14日01時19分  読売新聞)
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