HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sun, 13 Mar 2011 20:08:20 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:炉心溶融 的確な情報を速やかに:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

炉心溶融 的確な情報を速やかに

2011年3月13日

 白煙を上げる福島第一原発。炉心溶融という。そんな事態に冷静でいられるはずがない。何が起きているのか、どんな対策を進めているのか。政府は的確な情報を速やかに、明確な言葉で示せ。

 原発周辺の住民は不安と恐怖を心の底に押し込めながら、日々を送っているはずだ。それは数値で測れるものではないし、想定できるものでもない。

 とりわけ「炉心溶融」という事態ほど避けたいものはないだろう。それが現実に起きてしまった。最悪の事態である。住民の安全と安心が何より優先されなければならないはずである。

 危険な放射性物質は本来、外へ出してはならないものだ。通常、ウラン燃料は厳重に封入されて、水の中に沈んでいる。そこが炉心である。炉心は、圧力容器に収められ、守られている。

 緊急時、原発でまずやるべきことは「止める」「冷やす」「閉じ込める」の三つだけ。

 核分裂を止めて高熱の発生を抑えたあとも、温度はすぐには下がらない。緊急時には水を注入し、炉心を冷やしてやらないと、高温で炉心が溶けて、放射性物質が漏れ出てしまう。空だき状態に陥ると、原子炉の大爆発すら起きかねない。その炉心溶融が起きてしまった。一九七九年の米スリーマイル島原発事故と酷似し、旧ソ連のチェルノブイリ原発爆発事故すら頭をよぎる事態が、この国で進行中なのだ。

 事態は悪くなっていた。原因不明の「爆発的事象」があり、負傷者が出た。離れた場所で強い放射性物質が検出された。避難指示の範囲はじわじわと広くなる−。

 このような時、住民、あるいは国民として求めるものは、気休めではなく信頼できる情報だ。そして、的確な安全対策の道筋と避難誘導だ。ところが、情報の一元化すらままならない。官邸、東電、福島県、そして経済産業省の原子力安全・保安院の四者が小出しにする情報が明らかに食い違う。わけのわからないまま「ニュースを聞け」「冷静になれ」といわれても、不安が増幅するだけだ。

 「迅速な情報発信」。二〇〇七年、柏崎刈羽原発の直下で起きた新潟県中越沖地震の貴重な教訓だ。夜に入ってようやく、官房長官の具体的な説明が始まった。官邸は、住民の安全と安心のため、情報開示を続けるべきだ。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo