HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 39165 Content-Type: text/html ETag: "15dd6f-1d01-1239a440" Expires: Fri, 11 Mar 2011 21:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 11 Mar 2011 21:21:38 GMT Connection: close 東日本巨大地震 被災者の救助と支援に全力を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

東日本巨大地震 被災者の救助と支援に全力を(3月12日付・読売社説)

 マグニチュード8・8と、国内観測史上最大の巨大地震が東日本一帯を襲った。

 東北地方を中心に、猛烈な揺れが何度も続き、大津波が沿岸に押し寄せた。建物も崩壊し、夜までに70人以上の死者が確認された。けが人や行方不明者も大勢いる。

 政府は菅首相を本部長とする緊急災害対策本部を設置、被災者の救助と救援に全力を挙げるよう全閣僚に指示した。気象庁はこの地震を「東北地方太平洋沖地震」と名付けた。

 迅速な初動体制が肝要だ。自衛隊や警察、消防などを総動員し、関係自治体とも協力して、万全の対応をとってもらいたい。

 被災地の模様を伝えるテレビ映像は、言葉を失うほどの惨状を映し出した。

 大津波が住宅やビル、自動車などを次々と巻き込みながら、陸地をなめ尽くすように内陸部へと押し寄せた。

 遠く離れた東京、千葉など関東圏でも、住宅やマンション、ビルが損傷、火災も発生した。交通網も広域でマヒし、多数の“帰宅難民”が出ている。

 東北地方には、東京電力、東北電力などの原子力発電所が多数設置されている。運転中の原子炉は揺れで自動停止した。

 東電の福島第1発電所では、自動停止後、緊急時に原子炉を冷やすための非常用電源が働かない状態が続いている。

 外部への影響は確認されていないが、政府は原子力緊急事態を宣言し、「念のため」として周辺半径3キロ・メートルの住民に避難を指示した。早急な安全確認が必要だ。

 ◆「阪神」の教訓を生かせ◆

 余震が続いている。津波は今後も到来する可能性がある。しばらくは油断禁物だ。

 テレビやラジオなどで、地震や津波に関する情報に注意し、一人ひとりが警戒を緩めないようにしてほしい。

 被災地の人的、物的被害の状況は、ほとんどわかっていない。政府や関係自治体は、まず状況把握に全力を挙げねばならない。

 6400人以上の犠牲者が出た1995年1月の阪神大震災でも、なかなか被災状況が判明せず、救助と救援が後手に回った。災害の規模が大きいほど、全体状況の把握は困難さを増す。

 電気やガス、水道などのインフラが止まった地域も多い。電話やインターネットなどの通信網も、つながりにくい状態だ。パニックに陥らず、冷静に行動することが大切だ。

 被災地の寒さも懸念される。

 会社や学校、地域で助け合うことも重要だ。阪神大震災やその後の大きな地震では、地域の人たちの救出・救援活動が、被害を最小限に抑えるのに貢献した。

 ◆有数の津波危険地域◆

 三陸沿岸は、津波災害の危険に常にさらされてきた地域だ。

 地球を覆う岩板(プレート)のうち、太平洋プレートと陸地側のプレートが三陸沖の海底で衝突しており、周期的に大きな地震が発生している。

 しかも、沿岸は湾が複雑に入り組んだ「リアス式」と呼ばれる形をしており、押し寄せた津波がさらに増幅される。

 世界屈指の津波危険地域とも言われ、1896年の明治三陸大津波では、2万2000人もの犠牲者が出た。

 この時と同じく、今回も各地で津波が高さ4メートル以上に達したと伝えられる。早く高いところへ逃げることが身を守るための唯一の手段だが、津波の速度はすさまじかった。被害が心配だ。

 今回の地震で、被害が広い範囲に及んでいる原因として、複数の地震が連動したことも指摘されている。大きな地震が隣接地域の地震を引き起こして大規模な被害をもたらした例は、日本でも過去に何度もある。

 今回も、最初に発生した最大規模の地震が引き金になり、震源を変えて3回以上、大きな地震が続いたとみられている。

 ◆与野党協力で対応急げ◆

 政府の緊急災害対策本部長の菅首相は、被災地の人々に向けて「落ち着いて行動してほしい」と呼びかけた。

 今回の地震を、首相は日本の最大級の危機と認識すべきだ。

 人命救助と被災地の支援に強いリーダーシップを発揮しなければならない。

 与野党は当面、政治休戦して、地震対応に全力を傾注すべきだ。衆院解散・総選挙を要求していた自民、公明両党を含め野党全党が地震後すぐ、政府に全面協力を約束した。当然の対応である。

 大規模な補正予算も編成する必要がある。

 与野党は協力して、政府が遅滞なく救援や復興作業に取り組めるようにすべきである。

2011年3月12日01時00分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です