HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 11 Mar 2011 22:10:48 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:巨大地震・大津波 私たちは助け合う:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

巨大地震・大津波 私たちは助け合う

2011年3月12日

 東北地方を巨大地震が襲い、津波など列島各地で大きな被害が出た。未曽有の災害だ。国を挙げて救助に取り組もう。私たち総出で助け合おう。

 河口から逆流したり、海岸や港から押し寄せた波と海水が、仙台空港の滑走路や空港ビル周辺を覆ったり、青森県八戸市の市街地をのみ込んでいく。かなり大きい船が流されていくのも見える。

 十一日午後起きた地震で起きた津波の実態を、各局のテレビの画面などを通じ全国民が実見した。現場に居合わせた人々を除き、これほど多くの人の目に本当の津波の姿が映ったのは、おそらく初めてだろう。

◆観測史上の最大規模

 今回の地震のM8・8は、日本の観測史上最大規模である。一九九五年の阪神大震災がM7・3、四四年の東南海地震と二三年の関東大震災がいずれもM7・9なのでそれらを上回り、いかに大きなエネルギーが出されたかが想像されよう。

 断片的に伝えられる被害は、関東以北を中心に広汎(こうはん)にわたる。漁港では津波のために死亡者が出たり、住宅地でも建物の倒壊などで人的被害が報告されているが、時間の経過とともに集計が進めば、犠牲者もかなりの数に達する心配がある。

 東北自動車道などの道路が損壊したり、東京都内のビルや千葉県市原市の製油所では火災が発生、炎上した。

 東北地方や関東地方では数百万戸が停電したり、各地で道路の信号機が消えるなど、ライフラインの障害も大きい。原発の被害も注意を要する。

 東北、東海道新幹線や首都圏の地下鉄など、公共交通機関も運行を停止、金曜日の午後とあって影響を受けた利用者が多かった。

 今回の地震はプレートの境界で発生したとみられる。同じ仕組みで直前の九日に三陸沖で起きた地震は今回の前兆の可能性が高い。

◆津波から身を守るには

 しかし以前から危惧されている東海、東南海・南海地震との関連は今のところ薄い。

 それにしても、改めて痛感させられたのは、津波の恐ろしさであろう。

 今回、福島、岩手、茨城県、北海道では三メートル以上、福島県相馬市では七・三メートル以上の津波を観測した。専門家によると、高さ、被害の広さとも国内で過去最大級といわれる。

 津波から身を守るには、一刻も早く河口、海岸から高い安全な場所へ避難するに尽きる。「自分の近くに津波はこないだろう」という思い込みこそ捨てたい。災害心理学の専門家は、その種の先入観を排除することが第一だと忠告している。

 津波の到達時間は、震源からの距離におおむね比例する。今回は地震発生後、短時間で潮位の変動が観測された地域もあり、文字通り一寸一刻を争うケースもあったと思われる。

 数メートルの津波が恐ろしいのは当然だが、水の流れが速いと数十センチの深さでも溺れることがある。津波警報や注意報に基づき、避難勧告や避難指示が出されても、過去には対象住民のわずかしかそれに従わない実例が少なくない。

 東海、東南海・南海地震ではいずれも日本列島の関東以西の広い地域で大津波が心配される。地震対策は建物の耐震強化とともに、津波に対する警戒意識の根本的な変革と、避難態勢の確立を急ぐべきである。

 日本と日本人は古代から大地震と、大津波に何度も遭ってきた。

 とりわけ東北地方は大津波にしばしば襲われてきた。明治二十九年の三陸大津波では死者二万、被災一万戸を数え、その後も来襲があった。

 その恐ろしい天災に対し、科学調査は進んで来たようにみえる。最近は予知情報も試されている。しかし、地震のたびに深く思わされるのは、科学技術はなお頼れず、備えは万全であったか、情報伝達と避難はよくできたかという心構えだった。まだ大きな余震の不安はある。警戒を続けよう。備えよう。

◆神戸の蓄積を生かせ

 神戸の震災では、助け合うことをよく学んだ。

 そこに住む人たちだけでなく、各地から援助の人が来て、物資が届いた。悲惨な被害に遭いながら、助け合うことで人間のすばらしさも学んできた。

 これほどの大きな地震、大津波の被害の実態はまだつかめない。国を挙げての救助はもちろんのことだが、国民で助け合いたい。

 被災しなかった人にも何かできることはあるはずだ。

 日本中で助け合う時だ。国も自治体も民間団体も協力しよう。こういう時こそ私たちが日ごろ、考えたり、話したりしていることを実行すべきなのだ。

 

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