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NZ地震教訓 耐震強化を急がねばならない(3月10日付・読売社説)

 ニュージーランドを地震が襲ってから2週間余が過ぎた。

 救出活動はすでに打ち切られ、行方不明だった日本人留学生らの身元が徐々に判明しつつある。

 しかし、20人以上の安否がわかっていない。ニュージーランド政府は確認作業を急いでほしい。

 それにしても、被害が集中したクライストチャーチ中心部で、なぜ、日本人留学生らが学んでいたカンタベリーテレビ(CTV)ビルが崩壊したのか。

 地盤の軟らかいこの地域の直下で地震が起き、建物が激しく揺さぶられた。だが、大多数のビルは損傷を受けたものの倒壊を免れている。行方不明者の家族らには受け入れ難い事実だろう。

 CTVビルは耐震基準に沿う建物だったか。最新基準に合わせて補強されていたか。この地域では昨年9月にも地震があったが、その時の損傷が見過ごされていなかったか。多くの疑問がある。

 同国政府は、ビル崩壊の原因を徹底的に究明し、責任の所在を明らかにすべきである。

 今回の地震は、同じ地震国の日本にとって人ごとではない。9日には、三陸沖で大きな地震が起きた。わが国も、地震対策の強化を急がねばならない。

 国土交通省などの推計では、全住宅の約2割、約1000万戸に十分な耐震性がない。公立の小中学校も、まだ3割が耐震補強されていない。耐震性に問題がある病院も、全体の4割以上、約4000病院に及んでいる。

 東京都はまず、地震時の重要な緊急輸送道路に指定された主要幹線道路沿いのマンションやビルの所有者に、耐震診断の実施を義務づける条例を制定する。

 緊急輸送路は、沿道のビルが地震で倒壊すれば機能を果たせなくなる。都内には、そう懸念されているビルが沿道に約6000棟あるとみられている。

 こうしたビルに耐震診断を義務づける法律や条例はなかった。

 耐震診断は中規模のビルで300万円程度かかる。耐震性が不十分と判定され補強する場合、1000万円以上必要だ。これが耐震診断の普及を妨げてきた。

 都議会で審議中の条例案は、耐震診断の費用を全額、公費で負担することを盛り込んでいる。制定されれば、現状の改善に大いに役立つのではないか。

 東京都のこうした取り組みを全国に広げたい。財源不足の自治体には、国が必要な支援を行う仕組みを検討すべきだ。

2011年3月10日01時38分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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