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3月9日付 よみうり寸評

 〈伸びようという気持ちを持たない人は、子どもとは無縁の人です〉。教育者・大村はまさんの名言集「灯し続けることば」にある◆富山県魚津市の元高校教諭、平内好子さんの人生の歩みにこの言葉を思い浮かべた。ニュージーランド・クライストチャーチの地震で邦人遺体の身元が初めて確認されたあの女性のこと◆高校で生物を教えながら、ライフワークのダニの研究を続けてきた。校長を最後に退職した後、61歳で「英語の力を伸ばしたい」と今回の語学研修に参加、思わぬ悲運に見舞われた◆立山連峰で採取した土からダニの新種も発見、その研究で学会の奨励賞を受賞している。英語力を磨くのは論文のためだった◆クライストチャーチでは、また日本人2人の身元が確認されたが、思えば平内さん同様、今回の被災者は、みんな「伸びようという気持ち」の旺盛な人たちだ。被災の不条理が一層悔しい◆8日、家族が訪れた倒壊現場はもう更地だった。瓦礫(がれき)の山を見るよりも悲しみはもっと深まったのではないか。

2011年3月9日13時53分  読売新聞)
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