HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 39158 Content-Type: text/html ETag: "ad7aa-168c-18119440" Expires: Wed, 09 Mar 2011 01:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 09 Mar 2011 01:21:09 GMT Connection: close 企業トップ襲撃 卑劣な暴力団テロを根絶せよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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企業トップ襲撃 卑劣な暴力団テロを根絶せよ(3月9日付・読売社説)

 福岡市内で、九州電力会長宅と西部(さいぶ)ガス社長宅を爆発物で狙ったとみられる事件が相次いだ。

 手投げ弾のようなものが投げ込まれたといい、九電会長宅では車庫の一部が焦げた。一つ間違えば大きな被害が出るところだった。

 福岡県内では、4年ほど前から西部ガスや大手ゼネコンなどの関連施設に対する発砲事件が相次いでいる。警察は、建設事業への介入を狙う指定暴力団「工藤会」の犯行とみて捜査しているが、ほとんどは未解決のままだ。

 今回は企業トップの自宅を狙った言語道断のテロである。速やかに実行犯や関与した幹部らを逮捕し、組織の根絶にあらゆる手段を講じる必要がある。

 工藤会は長年、地元の「建設利権」を資金源にしてきた。息のかかった企業をゼネコンの下請けに入れ、実際より数%上乗せした額で工事を請け負わせ、組への上納金に充てさせていたという。

 一方で、そうした利権要求を拒んだり、組員らの犯罪を告発したり、工藤会の追放運動を率いたりする企業、市民らには露骨に牙をむいてきた。

 拳銃発砲や傷害などの暴力、放火、営業妨害といった報復や嫌がらせが絶えなかった。

 捜査の妨害を狙って警察官舎に爆発物を仕掛けたこともある。組員が被告の裁判では検察側証人を脅して出廷をやめさせた。あきれるばかりの無法ぶりである。

 この間、警察や行政が手をこまぬいていたわけではない。

 昨年、工藤会を中心に暴力団専門に取り締まる捜査員380人の暴力団対策部を県警に設置した。4月には県も、資金提供した企業や個人に刑罰を科す暴力団排除条例を全国で初めて施行した。

 それでも銃撃や爆発物事件がやむ気配はない。企業人や住民は不安でたまらないだろう。関係者の身辺警護に万全を期すべきだ。

 近年、暴力団の資金獲得策は、従来型の覚醒剤取引や賭博などに加え、組織の実態を隠して建設業や金融業などの事業活動に乗り出す傾向が見られる。違法活動の場を一般社会にまで広げている。

 暴力団のような反社会的勢力を封じ込めるには、最高幹部の検挙と資金源の遮断が必要だ。

 警察に与えられた“武器”に限界が見えるのであれば、法改正も検討されるべきだろう。

 暴力団に限定して、通信傍受法で「盗聴」が可能な対象犯罪を広げ、傍受の要件を緩和することも一策ではないか。

2011年3月9日01時27分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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