HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sat, 05 Mar 2011 03:08:59 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:食料値上がり 投機の実態にまず迫れ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

食料値上がり 投機の実態にまず迫れ

2011年3月5日

 国際的な食料高騰が日本にも波及してきた。新興国の需要増に加え、投機資金も値をつり上げている。日本は取引規制に消極的な米英と一線を画し、投機の実態に迫って新たな秩序を探るべきだ。

 政府が四月に輸入小麦の売り渡し価格を約18%引き上げる。砂糖、食用油などの値上げもめじろ押しだ。原油高でガソリンは一リットル=百四十円前後まで上昇し、国内外を問わず家計へのさらなる打撃が避けられない。

 小麦やトウモロコシなどの高騰の背景には、第一に途上国の需給逼迫(ひっぱく)がある。世界の生産量は増えてはいるが、現在六十九億人の地球人口が二〇五〇年に九十一億人まで膨張すると見込まれ、人口急増に生産が追いついていない。

 昨年は豪州やロシアなどの農業大国が旱魃(かんばつ)に見舞われ小麦の収穫が激減した。ロシアは禁輸に踏み切り、最大の輸出先エジプトで国民の不満が爆発し、政情不安の一因になった。日本が世界貿易機関に禁輸の妥当性を判定する規約づくりを提案することも一考だ。

 国連食糧農業機関によると、世界の二月の食料価格指数は〇二〜〇四年平均の二倍以上に達し、過去最高値を更新した。

 価格高騰の原因は人口急増や天候不順だけではない。

 先月開かれた二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、ブラジルが野放し状態にある投機資金をやり玉にあげた。リーマン・ショックを境に米欧日などが続けている金融緩和策が巨額のカネ余りを生みだし、高利回りの穀物先物市場に流れ込んで相場をつり上げているとの批判だ。

 サルコジ仏大統領も投機規制強化を求めたが、主要な商品取引所を抱える米国や英国が消極姿勢に終始し、日本も追随して議論は先送りされた。最大の食料輸入国日本として賢明な選択だったのか。米国に遠慮したなら論外だ。

 米国は〇八年の食料危機の際、相場操縦などの罰則を強化したが、マネーゲームへの各国の批判をかわすことが狙いだったのだろう。さしたる効果は表れていない。

 G20は今秋の首脳会議に向け、実際に生産された小麦の五十倍近い量を取引するシカゴ先物市場の動向が価格にどう影響しているかを分析する。ブラジルなどの指摘通りならば、速やかに世界の食料安全保障の新たな枠組みを築くべきだ。

 日本も議論に挑み、九億人を超す世界の栄養不足人口を減らす役割を担う気概を見せてほしい。

 

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