HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 03 Mar 2011 20:09:06 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:NZ地震 「あすはわが身」の恐怖:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

NZ地震 「あすはわが身」の恐怖

2011年3月3日

 ニュージーランド地震の揺れは、日本でいうと震度6強ぐらいという。それでなぜ、これほど多数の死者が出たのか。どこにでも断層がひそむ日本の地震対策に生かす教訓はあるはずだ。

 ニュージーランドと日本は震度の階級が違う。今回のマグニチュード(M)6・3の地震は、名古屋大学大学院環境学研究科の福和伸夫教授によると、震度6強程度に当たる。同程度の地震は日本でも中越(二〇〇四年)、能登半島(〇七年)、中越沖(〇七年)、岩手・宮城内陸(〇八年)と続発している。

 ニュージーランドは、耐震基準の導入など地震対策の先進国といわれるが、今回は犠牲者の数がけた違いに多い。

 建築学の立場で震災対策に詳しい同教授は、(1)震源が直下で浅く揺れが大きく(2)河川の堆積地で地盤は軟弱(3)多くの人が生活する都市域で起きたのが、被害を大きくしたとみている。

 現場付近は百年近く大きな地震に襲われなかったが、昨年九月にはM7・0の地震が起きた。れんが造りなど耐震が不十分な建造物が残っていたり、昨年の地震で損傷した建物に改修補強をしたかも問題である。日本人留学生らがいて倒壊したCTVビルにも、安全面の疑問点がいくつか伝えられている。

 地震によって個々の建物は揺れ方が違う。M7・0の地震で倒壊しないから、より小規模の地震に耐えると思うのは危険である。

 日本では、東海、東南海・南海という海溝型の巨大地震の一方、M7クラスの首都直下地震、東南海・南海の前後に活発化する中部圏・近畿圏直下地震も心配だ。ほかに既知、未知を合わせいたるところに断層がある。

 阪神大震災の教訓を生かし、犠牲者を減らすため最も努力が払われているのは、建造物が震度6強から震度7程度の地震でも、倒壊など人命に危害が及ぶ被害を生まないための施策である。

 一九八一年、建築基準法の耐震基準は強化された。これに合う耐震化率は住宅約79%、公立小中学校73%、防災拠点となる公共施設など70%という。

 耐震性の向上はどの建物でも必要だが、今回の教訓は、とくに人口密集地や、多数の人々が活動する建造物の耐震強化を急ぐべきということだ。都市の再開発でもこの視点を忘れてはならないし、ビルなどの所有者が、中にいる人々の安全を考えるのも大切である。

 

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