HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38632 Content-Type: text/html ETag: "15cf05-16a4-6739e780" Expires: Thu, 03 Mar 2011 03:21:21 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 03 Mar 2011 03:21:21 GMT Connection: close 韓国口蹄疫 水際対策を徹底し再発防げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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韓国口蹄疫 水際対策を徹底し再発防げ(3月3日付・読売社説)

 韓国で、家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)の感染被害が広がっている。

 昨年1月に発生した際は6月に終息し、いったん9月には国際機関が認定する「清浄国」に復帰した。

 だが、11月に再発した今回は被害が全土に及ぶ深刻な事態だ。

 宮崎県を襲った昨年の「口蹄疫ショック」を思えば、隣国の感染再発は決して人ごととは言えまい。ウイルス侵入を防ぐ水際対策を徹底し、再発に備えた防疫体制を強化しなければならない。

 韓国で殺処分の対象となった牛や豚は過去最大の340万頭に達した。29万頭を殺処分した宮崎県の10倍以上の規模である。

 感染が急拡大した最大の要因はやはり初動のまずさだ。最初の事例が報告された際、簡易検査で口蹄疫と認定せず、感染地に人や車両が自由に出入りするうちに瞬く間に被害が広がった。殺処分やワクチン接種も後手に回った。

 昨年上半期の発生時に殺処分したのは6万頭にとどまった。比較的早期に感染を抑えたことで、今回は油断した面もあろう。

 大規模な殺処分で豚の飼育数は3割減少し、品薄状態となった豚肉の価格が高騰している。韓国政府は豚肉関税を一時撤廃し、輸入で供給量を確保する緊急対策を講じるなど対応に追われている。

 日本は宮崎県での口蹄疫が沈静化した後、今年2月にようやく清浄国に認定されたばかりだ。ここで韓国からのウイルス上陸を許せば元も子もない。

 農林水産省は空港や港で防疫検査を実施中だ。だが、入国者の靴底の消毒を行い、農場へ立ち入ったかどうかの申告を要請する程度だ。これでは不十分だ。検疫探知犬が配置されているのも、成田と関西国際の2空港に過ぎない。

 日本と韓国で発生した口蹄疫のウイルスは同じ型だという。距離や人的交流を考えると、何らかの経路で相互に侵入した可能性も否定できまい。日韓両国政府が連携して根絶を目指すべきである。

 再発時の対策も心もとない。農水省が各県に畜産農家の指導徹底を求め、全国調査で実態を把握する段階にとどまっている。

 口蹄疫が発生すれば、国も自治体も農家も膨大なコストを支払わねばならない。それは昨年、身にしみたはずだ。

 アジア各地で家畜の伝染病が多発している。常時、感染情報の周知徹底や予防に努める一方、発生時には確実に初期封じ込めができる仕組みを、今から手抜かりなく整えておくことが肝心である。

2011年3月3日01時28分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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