HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 03 Mar 2011 02:09:41 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:新聞記者の取材に代表されるように、事実を丹念に吟味しなけれ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年3月3日

 新聞記者の取材に代表されるように、事実を丹念に吟味しなければならない仕事に作家的な想像力を持ち込むと、ろくなことにならない。出来上がるのは、真実から遠く離れたがらくたである▼民主党の小沢一郎元代表の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件の公判で、気になる証言があった。小沢氏の元秘書の大久保隆規被告の取り調べを担当した特捜検事が、私用パソコンを取調室に持ち込み、調書を作成したという▼検事はこう語っていた。「今は作家の執筆時間だから。司馬遼太郎みたいなもんだよね」。大阪地検特捜部の証拠改ざん事件で、逮捕、起訴された前田恒彦被告である▼「ここで大久保さん登場。これ、大久保さんの発言ね」。前田被告がそう叫んだこともあったという。証拠偽造に手を染めた検事だけに、大久保被告の法廷供述には信ぴょう性を感じる▼作家うんぬんはジョークのつもりだったのかもしれないが、大久保被告の供述からは検察が描くストーリーを容疑者らに強引に押し付ける手法が浮かび上がる。前田被告の個人の資質の問題ではなく、検察の病巣そのものだ▼前田被告の公判は十四日から大阪地裁で始まる。厚生労働省局長の冤罪(えんざい)を生んだ原因はどこにあるのか、自らの取り調べ体験を通じて語ってほしい。検事に必要なのは作家的な想像力ではなく、事実に対する謙虚さである。

 

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