HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Wed, 02 Mar 2011 02:08:35 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:専業主婦年金 公平な「救済策」目指せ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

専業主婦年金 公平な「救済策」目指せ

2011年3月2日

 公的年金で大切なことは公平性である。厚生労働省が始めた専業主婦の年金切り替え忘れに対する「救済策」はこれに著しく反し、年金制度への信頼を失わせる。救済するなら公平な方法ですべきだ。

 夫が会社をやめて自営業に転じたため、扶養されていた専業主婦の妻は「第三号被保険者」から保険料を払う「第一号被保険者」に切り替える必要があったが、十年間手続きをしなかったとしよう。

 ある妻は昨年十二月に届けたところ、法で定める過去二年分の保険料は納付できたが、それ以前の八年間は未加入・未納扱いになった。別の妻はことしになって届けたところ、二年分の保険料納付義務があるが、八年分は保険料未納なのに「納付済み」とみなされることになった。

 ほとんどの国民は、この「救済策」を公平とは思わないだろう。 このような重大な変更が国会審議・法改正を行わずに厚労省内部の議論だけで決められ、昨年末、一片の課長通知で実施されることになったのだから驚かされる。

 「救済策」を審議した厚労省の「年金記録回復委員会」で反対した委員は一人だけだった。あとの委員、さらに「救済策」を持ち出した厚労省幹部は後日、不公平だと批判の声が上がるのが予想できなかったのだろうか。この経緯は詳細に明らかにする必要がある。

 とはいえ、切り替えの届けをしなかったことがすべて専業主婦の「自己責任」というのは酷だ。年金制度は複雑で理解が難しい。行政の広報も十分とはいえない。

 その意味で何らかの「救済策」は必要だ。不公平感を生まない方法として、例えば切り替え忘れによる未納期間の保険料をすべて追納できるように法改正し、できるだけ納めてもらう。払えない分は加入期間(カラ期間)として認めるが、年金額に反映させないという方式が考えられる。現に通常の国民年金の保険料免除などで行われている方法であり、現実的だ。

 総務省の強い反対で厚労省は、今の「救済策」の実施を一時凍結している。その間に超党派の議員立法で公平な救済策の実現に取り組むべきである。

 この問題を突き詰めると「本人からの届けがない限り何もしない」という役所の申請主義の弊害に行き着く。いま政府で社会保障改革に関する議論が行われ、社会保障番号はその課題のひとつだ。これが整備されれば、年金記録不備問題はいうに及ばず、切り替え忘れも相当程度に防げるだろう。

 

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