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自動車燃費 実際の走行と合った表示に(3月1日付・読売社説)

 ガソリン1リットル当たりの走行距離を示すのが自動車の燃費である。

 各自動車メーカーがカタログなどに表示している燃費は、実際に走った時よりはるかに良いのが公然の秘密だった。

 消費者が車を購入する際に、燃費は重要な判断材料の一つとなる。現実に合わせて見直すのは当然であろう。

 国土交通省が、燃費を測定するこれまでの方式を改め、4月以降に発売する車から、新方式による表示をメーカーに義務付ける。

 現在の方法は、国の試験場の測定器のローラーに車を載せ、一定の走行パターンでタイヤを回転させて測る仕組みだ。

 エンジンが温まった状態から計測するため、燃費が高めに算出される傾向がある。

 同省がまとめた燃費ランキングでは、トヨタ自動車のハイブリッド車(HV)のプリウスが1位で1リットル当たり38キロ・メートルだ。

 しかし、プリウスのユーザーの多くは、実際の燃費はこれより悪い、と指摘する。他メーカーの車でも状況は同じだ。

 環境にやさしいエコカーは人気がある。自動車各社が燃費の良さを競っているが、実態がこれでは「燃費の数値が操作されている」と言われても仕方あるまい。

 新たな測定方式では、エンジンが冷えた状態から発進したり、加減速を繰り返す複雑な走行パターンを取り入れたりする。実走行と公表値の燃費が乖離(かいり)しないよう、実態に近い状況で測定する。

 この結果、新方式の燃費は、現行方式より1割強ほど数値が低くなる見通しだ。プリウスの場合も燃費は1リットル当たり32・6キロ・メートルに下がるという。

 トヨタなど各社はすでに新方式を先取りし、一部車種のカタログなどに新旧両方式の燃費を併記し始めた。だが、燃費の新しい表示の仕組みについての認知度はまだ低い。国とメーカーは、周知徹底を図ってほしい。

 日米欧などで、燃費の測定方式が違う問題も放置できない。

 国連が2013年を目標に、国際的な基準の統一を検討中だが、対応を急ぐべきである。

 電気自動車(EV)の普及も始まり、ガソリン車と電気自動車間の競争は激しくなりそうだ。

 EVでは、フル充電した時の走行距離が性能表示に使われている。EVで燃費に相当するのが「電費」だが、計測方法は手つかずだ。この手法の統一も、いずれ取り組まざるを得ない課題だ。

2011年3月1日01時08分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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