HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38448 Content-Type: text/html ETag: "dc2fb-16d1-e4f8bf80" Expires: Tue, 01 Mar 2011 00:21:04 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 01 Mar 2011 00:21:04 GMT Connection: close 公取の合併審査 国際性重視し機動的な判断を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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公取の合併審査 国際性重視し機動的な判断を(3月1日付・読売社説)

 日本企業が国際競争力を高めるには「攻め」の再編が避けられない。

 公正取引委員会が独占禁止法に基づいて行う企業の合併審査も、グローバル経済の潮流を念頭に置いた大局的な判断が必要だ。

 試金石となるのが、来年10月の合併を目指す新日本製鉄と住友金属工業に対する審査である。

 粗鋼生産量で世界2位となる合併新会社は、個別の製品によっては国内で圧倒的な占有率を持つ。独禁法に抵触しないか、公取委が審査することになっている。

 しかし、巨大なライバルがひしめく国際市場でのシェアは低い。公取委が国内への影響にこだわるあまり、世界に()していける新会社の誕生を妨げるようなことがあれば、角を矯めて牛を殺すことになりかねない。

 日本では多くの企業が国内に乱立し、過当競争で体力をすり減らしている。鉄鋼の大型合併は、そうした状況を変えるきっかけとなる。他業界にも大規模な再編を促す効果が期待されよう。公取委は、それを忘れてはならない。

 今回の合併審査では、まず、これまで審査に時間がかかり過ぎてきた点を改めてもらいたい。

 企業が合併審査を申請する場合、法定審査に先立ち、任意で事前相談制度を活用することが認められている。公取委の感触を得られる利点はあるものの、膨大な資料や説明が求められ、1年以上かかることはざらだ。

 米国では昨秋、航空大手2社が合併し、世界最大の航空会社が誕生した。計画発表から合併承認まで4か月あまりで済んでいる。

 合併が認められるかどうかの見極めがつかなければ、企業は当初の想定通りに再編計画を進められまい。新日鉄と住友金属は今回、事前相談を経ず法定審査一本に絞る方針だが、公取委は速やかに審査を進めるべきである。

 審査の透明性向上も課題だ。担当官によって判断が分かれ、根拠が十分に説明されなかったケースが大半だ。反論の機会もない。こうした不満が産業界には強い。

 顧客やライバル企業からの意見聴取がほとんど行われていないという問題点も指摘されている。他業界も注目する審査だけに、公取委の国際的な視野と説明責任が、これまで以上に問われよう。

 入札談合などに比べ、合併審査に投入される人員は手薄だ。今後は、業種や国境を超えた再編が加速し、審査も一段と難しくなる。経済や企業法務に通じた人材の育成や配置などが必要である。

2011年3月1日01時08分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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