HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37000 Content-Type: text/html ETag: "f378e-1241-f04beb00" Expires: Tue, 01 Mar 2011 01:21:44 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 01 Mar 2011 01:21:44 GMT Connection: close 3月1日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

3月1日付 編集手帳

 作家の阿刀田高さんが著書で自作の狂歌を紹介している。〈世の中は澄むと濁るのちがいにて、ためになる人、だめになる人〉(岩波新書『ことば遊びの楽しみ』より)。濁点で意味の一変する言葉は少なくない◆調べものに便利な携帯電話は多くの人にとって「ためになる」道具だが、なかには「だめになる」人もいる。京都大学などで入試の時間中にインターネットの掲示板に正解を求める投稿があり、答えも寄せられていた◆警察も偽計業務妨害の容疑で捜査に乗り出すという。不正に“点”を稼ごうとして「しけん」を「じけん」に変えた愚か者はいずれ特定されよう◆犯罪の容疑者として行方を追われ、罰を受け、合格していても取り消される。これほど割に合わない行為はない。遊びたい気持ちを抑え、睡眠時間を削って勉強してきた自分自身への裏切りでもあろう。自分の人生、自分で大事にしなくてどうする◆「浅き夢見し」は、はかない夢を見た、の意味になり、「浅き夢見じ」は、見まい、となる。カンニングで志望校突破、などというはかない夢――ならぬ、ばかな夢は断じて「見じ」に限る。

2011年3月1日01時11分  読売新聞)
現在位置は
です