HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sat, 26 Feb 2011 01:11:03 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:春闘本格化 一時金だけでいいのか:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

春闘本格化 一時金だけでいいのか

2011年2月26日

 自動車や電機など主要企業労組は経営側に要求書を提出し、今春闘での労使交渉が本格化した。焦点は一時金(ボーナス)の増額というが、これで勤労者の暮らしと日本経済が改善されるのか。

 原油高騰という悪材料が急浮上したとはいえ、景気は堅調に推移する見通しだ。株価は一万円台を維持。為替相場も一ドル=八〇円台前半という円高にもかかわらず、この三月期の企業業績は高水準になるという。

 主要企業の内部留保も巨額に達している。こんな追い風に恵まれていながら主要労組は今年もベースアップ(ベア)を見送り、定期昇給(定昇)確保と一時金増額と控えめな要求にとどまった。

 春闘の相場形成に大きな影響力を持つトヨタ自動車労組は定昇に加え、一時金で年間五カ月プラス七万円を要求した。ホンダやスズキのほか、電機では日立製作所や三菱電機などの労組も一時金増額の要求で足並みをそろえた。

 これでは春闘は迫力を欠く。

 また連合の闘争方針が分かりにくいことも春闘が盛り上がらない理由だ。ベア要求を見送る一方、今年は基本給に諸手当や一時金などを含めた「給与総額で1%を目安に配分を求める」とした。

 こんな方針に対して経営側は強気だ。日本経団連は「1%配分は到底困難」と一蹴。賃金は企業の支払い能力に応じて判断する、現在の定昇制度も見直すべきでは−と賃下げも示唆するありさま。

 主要労組が賃上げ要求を控えるのは景気や円高に加え、新興国とのコスト削減競争があるためだ。その認識は正しいが日本企業の強さの源泉が技術と人材にあることを考えれば、もっと強く待遇改善を求めるべきではないか。

 労使協議は来月中旬の集中回答日に向けてこれからが本番だ。

 今年は月額二千五百円のベア要求を掲げた私鉄総連や、1%程度の賃上げを強く要求している流通業界などのUIゼンセン同盟、中小機械メーカーのJAMの交渉などが注目を集めよう。

 非正規雇用労働者の待遇改善も焦点だ。パートや派遣など非正規は雇用者全体の三割以上を占め職場の有力な戦力である。時給の大幅引き上げや正社員転換制度拡充など各労組は自らの問題として真剣に取り組むべきだ。

 春闘を機に、新卒者の就職難も協議すべきではないか。フリーターを含め若者たちの雇用を改善することは、企業だけでなく日本の成長にかかわる問題である。

 

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