HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 25 Feb 2011 20:11:39 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:『孟子』には<彼はその爵(しゃく)を以(もっ)てし、我は吾…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年2月25日

 『孟子』には<彼はその爵(しゃく)を以(もっ)てし、我は吾(わ)が義を以てす>という言葉がある。相手が<爵>、つまり官位などの肩書を自慢しても何ほどのものか。こちらは<義>で対抗できる、というわけだ▼さはさりながら、権力を持つ者ほど肩書にこだわる面があるのも確かである。もっとも、この人物は違うらしい。リビアの最高指導者、カダフィ大佐▼専制的指導者としては、まったくユニークなことに、彼には肩書がない。大佐とは呼ばれるが、軍にポストがあるわけでもなく、四十二年前の「革命」の主導者ではあっても大統領などの官職にあるわけではない。公式には「民間人」にすぎない▼だが、<爵>と無縁だからって、その為政が<義>だとはとてもいえない。それどころか、側近や親族で権力を食い物にし、反体制言論は徹底して封殺してきた。そんな圧政への怒りが、今、体制打倒に人々を駆り立てる▼外遊の際も、遊牧民のテントで過ごすなど行動のユニークさも知られるが、政治手腕もしかり。反欧米の急先鋒(せんぽう)だったのに、突然、大量破壊兵器開発を放棄するなど、掌(てのひら)を返すように殊勝になって、巧みに関係改善を進めたりもした▼東西隣国の「大統領」二人は民衆の要求に屈し、おとなしくその座を去った。だが、この「民間人」は、なおも、苛烈な武力制圧を続けている。今は、そのユニークさが怖い。

 

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