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2011年2月23日(水)付

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予算関連法案―国民益を考え、歩み寄れ

財界首脳に「給料泥棒」とまで言われても、国政に責任を負うべき政治家たちは平気なのだろうか。新年度の政府予算案は週明けにも衆院通過の見通しだが、赤字国債の発行や法人減税に[記事全文]

小沢氏処分―真の区切りとするために

党として一定のけじめをつけたということだろうが、これで一件落着となるだろうか。政治資金規正法違反の罪で強制起訴された小沢一郎元代表の処分を民主党が決めた。判決が確定する[記事全文]

予算関連法案―国民益を考え、歩み寄れ

 財界首脳に「給料泥棒」とまで言われても、国政に責任を負うべき政治家たちは平気なのだろうか。

 新年度の政府予算案は週明けにも衆院通過の見通しだが、赤字国債の発行や法人減税に欠かせない予算関連法案は成立のめどが立たない。野党が対決色を強め、民主党内も一部議員の造反の動きで不穏な情勢だ。

 この状態が長引けば、国民生活と日本経済が政争の犠牲になる。そうした不安を一刻も早く拭うことこそ、政治全体の使命だろう。

 日本経済はようやくデフレ脱却に向けて薄明かりが見えてきた。この肝心な時に、政治が足を引っ張っているのは情けない。日本経団連の米倉弘昌会長が記者会見で「国民のために何もしない。給料泥棒のようなものだ」と嘆いたのも、もっともである。

 予算案は衆院を通れば成立する。だが関連法案は参院で否決されると、衆院で3分の2を確保して再議決しなければ成立しない。社民党が赤字国債発行に必要な特例公債法案などに反対を決めたため、展望が立たない。

 特例公債法案について野党は「年度内に成立しなくても大事にならない」としているが、この法案が成立しなければ、新年度予算92兆円のうち、40兆円余りの財源の裏付けがなくなる。その影響は社会保障や教育、地方財政などに広く及び、被害は甚大だ。

 米格付け会社が先に日本国債を格下げした理由にも、関連法案の行方が不透明なことがあげられていた。それが現実となれば、日本の政治は問題解決能力に乏しいとみなされ、株価や国債相場、市場金利に影響が出よう。

 野党が政権を追い込むことを優先するあまり、国会を機能不全に陥れることは、そうした高い代償を国民に払わせる結果を生む。今それだけの大義があるとは、到底思えない。

 菅直人首相は野党の協力を得るため、政権公約の見直しと、新年度予算案の大胆な修正に踏み出さねばならない。同時に野党の自民党や公明党にも強く求めたい。国民生活を人質に取るような言動は慎み、歩み寄って関連法案を通すべきだ、と。

 日本経済の再生には、民間の自律的な回復のうねりを政府が減税や雇用対策などで支えるだけでなく、安心して生活できる社会像を描くことも大切だ。この意味で、新年度予算の財源を確保しつつ、税と社会保障の一体改革の道筋を示すことが求められる。

 財政の立て直しには、消費増税を軸とする税制改革が欠かせない。菅政権も自民党も、その大筋において考えは同じだ。双方が協議のテーブルにつく努力をしなければなるまい。

 政局一辺倒の発想を改め、国民全体の幸福のために責任を負う気概と能力を、与野党は今こそ示してほしい。

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小沢氏処分―真の区切りとするために

 党として一定のけじめをつけたということだろうが、これで一件落着となるだろうか。

 政治資金規正法違反の罪で強制起訴された小沢一郎元代表の処分を民主党が決めた。判決が確定するまで党員資格を停止する。

 小沢氏の元秘書ら3人が逮捕されてから1年余、小沢氏自身の強制起訴の議決が公表されてからでも約4カ月半がたつ。除籍(除名)や離党勧告より軽い、穏便な処分を決めるのにも、これほど長い期間を要した。

 民主党の自己統治能力の欠如を、改めて厳しく指摘せざるをえない。

 政権交代に「古い政治」からの決別を期待し、裏切られた有権者の信頼を取り戻すのは容易ではあるまい。

 小沢氏は処分決定に先立つ党倫理委員会での弁明で、検察審査会による強制起訴は検察による起訴とは性格が異なるなどとして、処分は不当だと訴えたが、認められなかった。

 所定の手続きを踏んだうえでの党の機関の決定である。小沢氏は処分を厳粛に受け止めるべきである。

 しかし、小沢氏を支持する議員は処分に反発しており、党内の亀裂はさらに広がる気配だ。

 小沢氏支持の議員が会派離脱を表明したり、河村たかし名古屋市長ら地域政党との連携を探ったり、菅政権への揺さぶりを強めている。

 党員資格を停止される人物が、「闇将軍」のように党内で影響力をふるう。異様な光景というほかない。

 小沢氏が何事もなかったかのように、こうした動きを続けるなら、今回の処分はおよそけじめの名に値しない。その場合、菅直人首相と党執行部は、再度小沢氏への厳しい対処を迫られるだろう。首相らには、その責任を強く自覚してもらいたい。

 忘れてはならないのが、小沢氏がいまだにこの問題について国会で説明していないことである。

 小沢氏が事実上、政治倫理審査会への出席を拒んでいる以上、野党が求める証人喚問に、民主党は応じるべきだ。国会での説明抜きに、区切りをつけることはできない。

 首相は年頭の記者会見で、今年を「政治とカネの問題にけじめをつける年」にすると宣言した。

 自民党長期政権時代から繰り返されてきた日本政治の宿痾(しゅくあ)とでもいうべき問題にけりをつけるには、企業・団体献金の禁止や政治資金収支報告書に対する政治家の監督責任の強化などの制度改革が欠かせない。与野党が協力して、ぜひ今国会で必要な法整備を実現してほしい。

 政策より権力闘争に傾斜する小沢氏流の政治を乗り越え、与野党が徹底した話し合いを通じて政治を前に進める出発点にしなければいけない。

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