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G20声明 不均衡是正に指標を役立てよ(2月21日付・読売社説)

 先進国と新興国が、複数の経済指標を使って世界経済の不均衡是正を目指すことで一致した。

 昨年以来の懸案で合意できたのは前進だ。具体的に指標をどう活用し、どのような是正策に取り組んでいくかが、今後の課題である。

 日米欧と中国などが参加して、パリで開かれた主要20か国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が共同声明を採択した。

 焦点になったのが、過剰消費の米国で経常赤字が膨らみ、中国が巨額の経常黒字を積み上げる国際的な不均衡の問題だ。

 こうした(ひず)みの是正策をG20は昨年から議論してきたが、今回ようやく、「政府債務と財政赤字」「貯蓄率」、そして実質的な経常収支を意味する「対外収支」の三つの指標の採用で合意した。

 当初検討された「為替レート」が外れたのは、人民元の切り上げ圧力を警戒する中国が反対した結果とみられる。合意を最優先したのはやむを得まい。

 昨年の会議で米国は、経常収支の黒字または赤字を国内総生産(GDP)比で一定水準に抑える数値目標を主張し、中国やドイツから反発された。

 それを教訓として、G20が今回合意した指標を活用できれば、輸出に過度に依存しない内需主導型経済への転換や人民元切り上げを中国に促す効果が期待される。

 過剰消費を続け、海外からの借金を膨らませている米国には、財政健全化や貯蓄増を求める手段として役立つ可能性がある。

 G20で争点となった別のテーマが、小麦や大豆などの主要穀物や原油の価格高騰だった。

 食料価格高騰の原因は、天候不順による生産減少と、新興国の経済成長に伴う需要拡大に加え、米国などの金融緩和策で世界中にあふれた投機資金の流入だ。

 価格高騰により、新興国でインフレ懸念が高まり、イスラム諸国で相次ぐ政変の遠因となった。

 G20声明が食料価格の動きに懸念を共有したのは当然だ。値上がりをあおる投機資金の流れや影響を解明する作業部会の設置で一致したことは評価したい。

 ただ、現実的には、価格高騰を抑制する即効策は見当たらない。G20は国際機関などと連携して監視を強め、投機資金の規制策をさらに検討する必要がある。食料増産への支援も強化すべきだ。

 G20は金融危機の克服に一定の役割を果たした。世界経済のリスクを乗り切るため、結束を強化しなければならない。

2011年2月21日01時01分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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