HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 17 Feb 2011 00:11:43 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:トヨタ「安全」 危機管理に完璧はない:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

トヨタ「安全」 危機管理に完璧はない

2011年2月17日

 米国でのトヨタ自動車の急加速問題で、米運輸省は電子制御システムに欠陥はなかったとする最終報告を出した。一連の問題は、ますます盛んになる企業の海外展開にも大きな教訓を残している。

 米国で吹き荒れていたトヨタ車の安全性をめぐる問題に、ようやく決着がついた。

 きっかけは二〇〇九年夏にカリフォルニア州で、レクサスが暴走し一家四人が死亡したとされる事故だった。事故直前のドライバーの電話のやりとりがメディアで大きく取り上げられ、連鎖的に「意図しないのに急加速する」などの訴えが相次いだ。

 トヨタはアクセルペダルがフロアマットに引っかかりやすいなどの不具合を認め、大規模なリコール(無料の回収・修理)を実施。電子制御システムの欠陥は否定したが、初動の対応の遅れも影響し厳しい追及はやまなかった。米国では失業やビッグスリー低迷が深刻で、昨年の中間選挙と絡んだトヨタたたきとの声も多かった。

 米運輸省がシロ判定をしたものの、トヨタは米国内でダメージを引きずったままだ。培った信頼性とブランドイメージは低下し昨年の新車販売台数は日米大手メーカーで唯一、前年比マイナス。リコールに伴う損害賠償を求めるユーザーとの集団訴訟は継続中だ。

 一連の問題が示したのは、人材やノウハウが豊富な巨大企業でもあらゆるリスクを未然に避けることはできず、わずかな判断の狂いが命取りになるという事実だ。トヨタの場合、世界のメディアが殺到する中、その対応は鈍く後手の印象を与えてしまった。メディアが知りたいことは世界のユーザーが知りたいことである。それは車に限らない。

 トヨタの二〇一〇年四〜十二月期の地域別の連結営業利益は日本が千七百億円の赤字だったのに対し、北米とアジアはともに二千三百億円の黒字。成長が続く海外市場で利益を稼ぐ傾向は一層顕著になり、海外での危機管理は格段に重みを増しつつある。

 政治体制、法制度から市民意識まで、あらゆるものが国や地域ごとに異なる海外では企業を待ち構えるリスクも千差万別だ。まして昨今は不確実な情報や無責任なうわさでさえ、ネットを通じ瞬時に広まる危険が常にある。

 中小企業も海外に活路を見いだそうとする時代である。個々の企業が海外でのリスク管理態勢をいかに整えるかが大きな課題であることを再び、肝に銘じたい。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo