HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38633 Content-Type: text/html ETag: "a2063-1696-42b2b9c0" Expires: Sun, 13 Feb 2011 21:21:40 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 13 Feb 2011 21:21:40 GMT Connection: close 日露外相会談 「領土」前進へ粘り強く交渉を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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日露外相会談 「領土」前進へ粘り強く交渉を(2月13日付・読売社説)

 モスクワで開かれた前原外相とラブロフ露外相との会談は、北方領土問題で双方が従来の主張を繰り返し、平行線をたどったまま終わった。

 メドベージェフ大統領の北方領土訪問以来、日露関係は険悪さを増し、領土問題での進展は、期待しにくい状態に陥っている。

 しかし、このまま放置しては、お互いの利益にはなるまい。あらゆる機会を見つけて協議を続け、解決の糸口を探るべきである。

 外相会談は冒頭の握手もなく、厳しい雰囲気だったという。前原氏は、1993年の東京宣言など「これまでの合意文書と法と正義」に基づき、双方が受け入れ可能な解決策を探ろうと提案した。

 これに対し、ラブロフ氏は「前提なし、歴史的な結びつきなしに議論を進める必要がある」と述べた。4島返還を主張する日本側に柔軟な対応を求めたのだろう。

 会談は、予定の倍の約2時間続いたが、結局、議論はかみ合わなかった。協議継続が唯一の成果という寂しさだった。

 ただ、この結果は、事前に予想された通りでもあった。

 ロシアは近年、極東の石油・天然ガス資源開発に力を入れ、その一環として北方領土にも予算を投入している。もはや日本に領土問題で譲歩する必要はない、との考え方が強まっているようだ。

 大統領に続いて政府要人が相次いで北方領土を訪問したのも、そうした姿勢の表れだろう。

 日本としては、北方領土の「ロシア化」をただ傍観するわけには行くまい。菅首相のように大統領の訪問を「許し難い暴挙」と声高に非難するだけでなく、具体的な戦略を立てて臨むべきだ。

 一方、外相会談後の貿易経済政府間委員会では、日露の経済協力について、官民による新たな「円卓会議」の設置を合意した。ロシアの生産設備の近代化や極東開発などを協議するという。

 日本からロシアへの直接投資額はこのところ、右肩上がりで増えている。ロシア側も、日本からのハイテク分野などでの協力に期待を強めている。

 日露が経済を突破口に、外交・安全保障でも関係を強化することは望ましいことだ。中国に対抗するうえでも必要だろう。

 だが、領土問題を置き去りにしての協力であってはならない。

 平和条約を結び、日露間に真の信頼関係が生まれることが、両国の一層の経済発展につながることを、粘り強くロシア側に訴えて行く必要がある。

2011年2月13日01時24分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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