HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38742 Content-Type: text/html ETag: "15d909-1678-f77f6980" Expires: Sat, 12 Feb 2011 01:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 12 Feb 2011 01:21:38 GMT Connection: close 日豪EPA 早期合意がTPPの試金石だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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日豪EPA 早期合意がTPPの試金石だ(2月12日付・読売社説)

 10か月ぶりに再開した日本と豪州の経済連携協定(EPA)の交渉は、大きな進展がないまま終了した。

 菅首相は貿易自由化を推進する「平成の開国」を掲げ、米国などが進める環太平洋経済連携協定(TPP)に参加するかどうか、6月ごろに結論を出すと公約している。

 豪州はTPPの主要メンバーだ。日豪EPAで妥結できなければ、TPP参加の道も難しい。

 日本にとっては、開国の決意が問われる試金石である。民主党内に反対派を抱えるなど環境は厳しいが、政治決断による早期合意が待たれよう。

 2007年に始まった日豪EPA交渉は、豪州が求める農産品の関税引き下げに日本が抵抗したため、中断されていた。

 今回、東京で開かれた仕切り直しの交渉は、日本の姿勢がどう変わるのかが注目された。しかし、交渉を打開するような動きはなく、期待外れの結果だった。

 足かせになったのが、牛肉、小麦、砂糖、乳製品の4品目である。関税率は牛肉が38・5%、バター360%などと相当に高い。

 これまで日本が13か国・地域と合意したEPAでは、この4品目を市場開放の「例外扱い」として保護してきた。

 だが、TPPは、より徹底した貿易自由化を目指し、原則として10年間で関税を撤廃する内容だ。最初から一部を「例外扱い」とする交渉は認められない。

 政府が昨年11月に決めた経済連携の基本方針には「すべての品目を自由化交渉の対象とする」と明記された。その方針に沿い、従来の姿勢を改める必要がある。

 農業の国際競争力を強化するため、政府は6月に農業改革の基本方針をまとめる。

 関税引き下げなどで打撃を受ける農家の支援策などを検討しながら、豪州との交渉も加速し、TPP参加の道筋をつける――。そうした戦略が求められよう。

 豪州との交渉は鉱工業品分野も重要だ。日本は豪州が輸入関税をかける自動車などの関税撤廃を要求している。実現すれば、豪州向けの輸出が拡大するはずだ。

 日本が需要の6割以上を依存する鉄鉱石と石炭や、豪州に豊富なレアアース(希土類)のさらなる安定供給も期待できよう。

 米国や欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)を結んだ韓国が、豪州とも交渉中だ。日本は韓国に先を越されないよう、本腰を入れて取り組まねばならない。

2011年2月12日01時12分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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