HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38790 Content-Type: text/html ETag: "15dd5c-16f6-494bbfc0" Expires: Thu, 10 Feb 2011 21:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 10 Feb 2011 21:21:09 GMT Connection: close トヨタ安全認定 国際企業に残された重い教訓 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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トヨタ安全認定 国際企業に残された重い教訓(2月11日付・読売社説)

 全米に吹き荒れた「トヨタたたき」は、おおむね収束に向かうだろう。だが、傷付いたブランドイメージの回復は道半ばである。

 トヨタ車が運転中に急加速するとされた問題で、米運輸省が最終報告を発表した。原因として疑われた電子制御システムに「シロ判定」を下した。「欠陥はない」とするトヨタの主張が全面的に認められたといえる。

 しかし、問題の発生当時、米当局への報告が遅れるなど、トヨタの動きは鈍く、安全性に敏感な米国の消費者の反応を見誤った。

 企業にとって、自社製品の品質管理は最優先課題である。対応を誤れば、長年かけて築き上げてきた信用も一瞬で崩れ去る。トヨタは、こうした点を今後の経営の糧としなければならない。

 トヨタ車に対する苦情が米国内で相次いだのは、2009年ごろだ。自ら調査した結果、トヨタはアクセルペダルなどの不具合を認め、800万台のリコール(回収・無償修理)に追い込まれた。

 焦点となっていた電子制御システムは、米国で販売されているすべてのトヨタ車に使われている。欠陥が認定されれば、米国での生産や販売への打撃は計り知れないものとなったに違いない。

 米当局が安全性にお墨付きを与え、疑念がさらに広がる事態を避けられたことは、トヨタにとっては朗報である。

 一方で、トヨタ車の保有者が「リコールで車の価値が下がった」として損害賠償を求める集団訴訟は各地で続いている。最終報告はトヨタに有利に働こうが、訴訟の行方は予断を許さない。

 米国での業績不振も続いている。昨年の米新車市場は主要各社が(そろ)って前年比プラスを確保する中で、トヨタだけが販売台数を減らした。消費者の不信感が払拭されていないということだろう。

 米国の議会や政府、メディアは一時、激しいトヨタ批判を展開した。急先鋒(せんぽう)となったのは、米自動車大手の拠点を選挙区に抱える議員たちだ。10年の中間選挙を控え、トヨタ追及を政治的に利用しようとする狙いは明らかだった。

 最終報告を受け、米紙は「ヒステリーを起こした米議会は責められるべきだ」と批判した。こうした議員らには、大いに反省してもらう必要がある。

 ただ、グローバル企業にとって、文化の違いなどから国内では想定しがたいリスクがつきものである。それを再認識することが、トヨタ問題の教訓となろう。

2011年2月11日01時43分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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