明日から三連休。家族や友人と連れ立って遊園地に繰り出す人も多かろう。ただ乗り物の事故が相次いでいるのが気にかかる。遊園地は安全管理のたがをしっかりと締め直し、万全を期してほしい。
先週の日曜日、行楽客でにぎわう東京の東京ドームシティアトラクションズでジェットコースターに乗っていた会社員の男性が落ちて亡くなった。警視庁は安全管理に不備がなかったか業務上過失致死容疑で調べている。今後の教訓とするためにもつぶさに原因を突き止めてほしい。
コースターは二人ずつ背中合わせに乗り込み、曲がりくねったレールを走る。カーブでは遠心力で座席がくるくる回る。利用客は座席の安全バーを手前に引き下ろして腹部を固定するが、男性のものはきちんとロックされていなかった疑いが強いという。
運行を担当した女性の学生アルバイトは安全バーを目で確かめたが、手でじかに触れなかったと警視庁に説明したようだ。運営会社は点検方法は口伝えで指導していたと釈明する。だが、内規では利用客の安全を確かめたり、発車ボタンを押したりする役目は社員が担う決まりだったとされる。
本当であれば、現場の従業員の配置や監督の在り方、教育や研修、指導の仕方といった安全管理システム全体に大きな疑問符がつく。そもそも人命を預かるという意識が組織的に欠如していなかったか。しっかりと検証すべきだ。
遊園地ではスピードやアップダウン、回転などを強調してスリルを演出する乗り物が人気を集める半面、事故が後を絶たない。
二〇〇三年には三重県のナガシマスパーランドでコースターの車輪が脱落、〇七年には大阪府のエキスポランドで脱線して多くの被害者が出た。昨年には都内のとしまえんでフライングカーペットから高校生が落ちて重傷を負った。
絶叫マシンのような乗り物には安全バーやシートベルトをつけるよう建築基準法で定められている。ところが、安全装置がロックされていないのに動く乗り物も野放しにされているようだ。従業員の教育や指導のような取り組みも現場任せなのが実情だ。
国や自治体は事故が起きるたびに遊園地に注意を促したり、乗り物を調べたりと後手に回りがちだ。子どもたちも利用する遊具に的を絞った法整備やチェックの仕組みを思い切って検討すべきだろう。歓声が悲鳴に変わるような事態は二度とあってはならない。
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