HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38608 Content-Type: text/html ETag: "a5927-1734-b654da80" Expires: Wed, 09 Feb 2011 22:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 09 Feb 2011 22:21:41 GMT Connection: close 南北軍事会談 真偽試される「北」の対話路線 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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南北軍事会談 真偽試される「北」の対話路線(2月10日付・読売社説)

 韓国との関係を本気で改善するつもりはあるのだろうか。北朝鮮の真意を慎重に見極め、出方を注視する必要がある。

 韓国と北朝鮮が、高位級軍事会談の予備会談を板門店で開いた。2日間に及んだ協議は、本会談での議題などをめぐって合意できず、物別れに終わった。

 韓国は、北朝鮮による昨年の哨戒艦沈没事件と延坪島砲撃事件について「責任ある措置」と再発防止への確約を求める立場だ。

 北朝鮮がこの問題に触れないままでは、南北関係の進展はあり得まい。北朝鮮が期待する米国との直接対話の実現も遠のこう。

 朝鮮半島の緊張緩和へ動くのならば、北朝鮮は自ら提案した南北対話に真摯(しんし)に取り組むべきだ。

 北朝鮮は今年、韓国への武力挑発を繰り返した昨年とはうってかわって対話姿勢に転じている。

 労働党機関紙など主要3紙の新年共同社説は、韓国との「対決状態を一日も早く解消」して「対話と協力事業を積極的に推進」するという方針を打ち出した。

 その後、政府間対話や赤十字会談、高位級軍事会談などを次々に提案し、韓国が応じたことから今回の予備会談の開催に至った。

 自ら緊張を高め、にわかに対話に転じ、見返りを得ようとするのは北朝鮮の常套(じょうとう)戦術だ。ただ、今回の変化の背景には経済的な成果を急ぐ切迫した事情もあろう。

 北朝鮮は、故金日成主席の生誕100年と金正日総書記の古希を祝う来年を「強盛大国の大門を開く」年と重視している。破綻した経済の再建が最優先課題だ。

 その表れだろう。北朝鮮の外務省は昨年12月、「今は経済建設に総力を集中すべき極めて重要な時期」として、必要なのは「戦争の雰囲気ではなく、安定した平和的な雰囲気だ」と論評していた。

 武力挑発を続ければ外国からの投資も対米交渉も望めない。危機感を反映した本音と見てよい。

 国際社会の警告を無視して核開発を進めたことで、北朝鮮は国際的孤立を深めた。中国からの援助は期待できても、日米韓との関係が改善しなければ、経済発展が見込めないのは明らかである。

 日米韓は連携を一層強化し、政策を調整しながら、抑止と対話の両面で北朝鮮に対応していくことが重要だ。

 北朝鮮が南北対話に臨むからといって、朝鮮半島の緊張が直ちに緩むわけではない。北朝鮮が核・ミサイルを増産していることで、根本的な脅威はむしろ増大していることを忘れてはならない。

2011年2月10日01時10分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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