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2月9日付 よみうり寸評

 〈昨年12月9日に死去したことが7日、わかった。88歳だった。告別式は済ませた〉――作家・豊田正子さんの訃報。死後2か月もたってようやく報じられた。寂しい◆昭和初期、豊田さんは、小学生の時の作文を収めた「綴方(つづりかた)教室」がベストセラーになり、天才少女ともてはやされた◆豊田さんの小学生時代は昭和4〜10年(1929〜35年)、世界的不況のただ中。東京の下町のブリキ職人一家の生活を見事に綴った。貧乏暮らしに追われ、夜逃げなど何度も転校した。綴り方に目を開いたのは4年生の新学期◆「綴り方とは、自分の言葉で、身の回りの自分が一番よく知っていることを書くこと」と担任の先生に教えられた◆「綴方教室」は昭和12年に出版。貧乏でも働き者の父ちゃんと母ちゃん、けんか相手の弟がいて、正子さんは明るい◆イメージは〈けなげな少女〉。思えば〈けなげ〉という言葉も、正子など〈子〉のつく女の子の名も、近ごろは余り聞かなくなった。降る雪や、昭和もまたまた遠くなりにけり。

2011年2月9日14時13分  読売新聞)
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