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2月10日付 編集手帳

 先生が話す。「むかし、ノアが大きな船に乗せた動物のほか、生きものはことごとく洪水で死に絶えました」。トミーが質問した。「魚類も死にましたか?」◆明治期に福沢諭吉が翻訳したジョーク集『開口笑話』に文語体で収められている一編を、口語に改めて引いた。旧約聖書の記述「ノアの箱船」は日本人にとっても、笑い話のネタとしても通用したほどに()()みが深い◆米国ケンタッキー州で進められている「ノアの箱船」テーマパーク開発計画の記事を本紙国際面で読んだ。約124億円を投じ、聖書を参考に「ほぼ実物大」全長150メートル、高さ13メートルの箱船を建設し、動物も飼育するという。「バベルの塔」まで建ててしまうというから、「魚類も死にましたか?」と茶々を入れにくいほどに大がかりのようである◆「ノアの箱船」と聞くと、茨木のり子さんの詩『水の星』のほろにがい一節を思い出す。〈善良な者たちだけが選ばれて積まれた船であったのに/子子孫孫のていたらくを見れば この言い伝えもいたって怪しい〉と◆新聞をひらくと、“いたって怪しい”実例が今朝も一つ、二つ、三つ…。

2011年2月10日01時08分  読売新聞)
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