HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 08 Feb 2011 20:09:24 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:窮地の大相撲 この勝負に「次」はない:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

窮地の大相撲 この勝負に「次」はない

2011年2月8日

 八百長が白日の下にさらされ、春場所が中止となった。大相撲はかつてない窮地に追い込まれている。国民の貴重な宝を救うため、解体的な大改革に踏み出す時が来たようだ。

 野球賭博事件の捜査から浮上した八百長問題は、もはや「疑惑」ではない。既に三人の親方、力士が関与を認めている。これまではうやむやのままだった最大の暗部が、明白な事実となって突きつけられたのだ。

 これによって三月の春場所の中止が決まった。不祥事では史上初の本場所中止。無期限中止の可能性さえ出てきている。長い伝統を断ち切らねばならないところまで追い詰められたということだ。

 本場所中止は衝撃的だが、当然とも言わねばならない。つくりものでない、白熱の土俵があってこその大相撲である。以前から指摘されてきているとはいえ、八百長行為が日常的に行われていたのがとうとう明らかになった以上、場所を開くわけにはいかない。

 全容を解明し、厳正な処分を行い、そのすべてを国民の前に提示する。まずはそれを急がねばならない。過去にさかのぼっての調査も、可能な限り行うべきだろう。場所再開を急いではいけない。もし日本相撲協会が中途半端な調査や処分で幕引きをはかろうとすれば、その時点で大相撲は消滅に向かうことになる。不誠実な姿勢が少しでも見えれば、今度こそ多くのファンが相撲界を見捨てるに違いないからだ。

 そして徹底調査の一方では、大相撲の構造そのものの抜本的改革を本格的に開始しなければならない。「ガバナンスの整備に関する独立委員会」でも検討が行われてきたが、核心部分に深く切り込まなければ何も変わらない。すなわち、現行の部屋制度や年寄名跡のあり方についても、画期的な大改革に踏み出す覚悟が必要なのだ。いったん解体して、つくり直す。ここで求められているのはそういう姿勢である。

 相撲協会には、わが身を削ってでも改革に向かう必死の決意を求めたい。とはいえ、外部の幅広い力がなければ、解体的改革の実現など、とうてい不可能だろう。まずは、どのように態勢を整えるかがカギとなりそうだ。

 大相撲は多くのファンを持つプロスポーツであり、長い歴史を持つ伝統文化でもある。貴重な国民の宝を消滅させてはならない。まさしく土俵際。ただし、この勝負にはもう「次」はない。

 

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