HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 07 Feb 2011 23:12:26 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:クレーンにつるされた巨大な鉄球が山荘に打ち込まれ、警官隊が…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年2月8日

 クレーンにつるされた巨大な鉄球が山荘に打ち込まれ、警官隊が突入する。五十代以上は、緊迫したテレビの映像を鮮明に覚えているだろう。一九七二年二月、銃で武装した連合赤軍のメンバーが保養所の管理人の妻を人質に取り、十日間にわたって立てこもったあさま山荘事件だ▼警官隊の突入によって、人質は無事保護された。坂口弘死刑囚ら五人全員が逮捕されたが、取り調べで発覚したのは凄惨(せいさん)なリンチ殺人事件だった▼山岳ベースと呼ばれる小屋で、連合赤軍のメンバーは「総括」という名のもとに集団リンチを加え十二人の仲間の命を奪っていた。その中心人物が東京拘置所で病死した元最高幹部の永田洋子死刑囚だった▼連合赤軍が起こした二つの事件で、学生運動は民衆の支持を完全に失った。キャンパスからバリケードや機動隊の姿が消え、若い世代の関心は、社会変革よりも自分自身に向かう▼「自分が変われば社会が変わる」。そんな潮流から学生に支持されたのがオウム真理教だった。閉ざされた空間の中で、指導者を絶対視する空気が充満し、人を殺すことを「総括」「ポア」などという言葉で正当化したこの二つの組織には共通点が多い▼なぜ、真面目な若者が歴史に残る凶悪犯罪にかかわってしまったのか。事件から学べる教訓は多いはずなのに、歴史の中に埋もれようとしているのは残念だ。

 

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