HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38519 Content-Type: text/html ETag: "16b881-164a-48a48e40" Expires: Sat, 05 Feb 2011 01:21:36 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 05 Feb 2011 01:21:36 GMT Connection: close 鉄鋼再編 国際競争激化が促した大合併 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

鉄鋼再編 国際競争激化が促した大合併(2月5日付・読売社説)

 海外企業との激しい競争に勝ち残ることを目指し、日本に巨大鉄鋼メーカーが誕生する。

 国内最大手の新日本製鉄と、3位の住友金属工業が、2012年10月をメドに合併することで合意した。02年に資本提携していたが、経営統合に踏み込む。

 両社を合わせた粗鋼生産量は、アルセロール・ミッタル(ルクセンブルク)に次ぐ世界2位、アジア最大に浮上する。

 日本の産業界は鉄鋼に限らず、複数の有力企業がしのぎを削るのが特徴だ。消耗戦が続き、海外の巨大企業に対抗できない例が目立つ。今回の大型再編が他産業にも波及し、日本企業の競争力強化につながることを期待したい。

 新日鉄と住金に合併を促したのは、中国、インドなど新興国市場での競争の激化である。

 新日鉄は自動車や電機向けの高機能鋼板に強みがあり、住金はシームレスパイプが得意だが、国内市場は縮小傾向が続く。これと対照的に、好景気の新興国を中心に世界市場は急成長している。

 大胆なM&A(合併・買収)を続けるアルセロールだけでなく、中国や韓国大手が生産増強で攻勢をかけ、日本メーカーは守勢に立たされているのが実態だ。

 自動車や電機メーカーなど、鉄鋼を大量に使う企業も新興国での現地生産を加速中だ。日本の鉄鋼各社が現地での生産を拡大できなければ、せっかくの顧客ニーズに応えられなくなる。

 このため、今回の合併には、経営基盤の強化で、新興国に工場を新設し、生産体制を増強する狙いが込められている。

 鉄鋼業界にとって、鉄鉱石などを産出・販売する資源メジャーが台頭し、資源価格が高騰していることも脅威だ。新日鉄と住金には規模拡大で価格交渉力を強めたいとの思惑もあろう。

 合併を機に、両社は、高炉の統廃合など業務スリム化を推し進める可能性が高い。しかし、その場合でも、国内の雇用維持は極めて重要だ。空洞化はできるだけ避けてほしい。

 今後の焦点は、両社の合併を認めるかどうか、公正取引委員会の審査に移る。

 合併で新会社の粗鋼生産量の国内シェア(市場占有率)は45%近くに達する。しかし、海外でのシェアは約3%に過ぎない。

 公取委は国内シェアを重視しがちだが、国際競争力の強化を図る観点から、合併を早期に認めるべきであろう。

2011年2月5日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です