HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 04 Feb 2011 20:09:28 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:鉄鋼2社合併へ アジア需要獲得がカギ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

鉄鋼2社合併へ アジア需要獲得がカギ

2011年2月4日

 鉄鋼業界最大手の新日本製鉄と三位の住友金属工業は来年十月をめどに経営統合(合併)すると発表した。企業規模の拡大で国際競争力を強化することが狙い。アジア需要を取り込むことが重要だ。

 「両社が株式持ち合いや子会社設立などで親密な提携関係にあったことは知っているが、経営統合にまで進むとは驚きだ。設備や人員をどうするのか協議の行方に注目したい」−ある鉄鋼大手役員は声を強めた。

 別の業界関係者は二〇〇一年以降、両社が業務提携していたことから「統合は既定路線」と冷静に見る。四位の神戸製鋼所とともに新日鉄グループを形成しており、鉄鋼業界はNKKと川崎製鉄とのJFEホールディングスの二大グループに集約されてきた。

 新日鉄と住金両社が統合すれば粗鋼生産能力は約四千八百万トンに拡大し、中国の鉄鋼各社を上回る世界二位の巨大製鉄会社となる。世界最大のアルセロール・ミタルを追撃する態勢が整う。

 スケールメリットを生かして効率的な生産・販売体制を構築しコスト削減も徹底して収益力を高める。高品質の製品を供給してユーザーとの価格交渉力を強め、さらには鉄鉱石など原材料の購買交渉力も強化する。これらが両社が目指す統合効果だろう。

 だが足元をみれば、両社が経営統合に踏み切らざるを得ない深刻な状況が浮かび上がる。

 鉄鋼の国内需要はリーマン・ショックを機に〇九、一〇年度と連続して減少する見込みだ。自動車など製造業の海外移転が進行しているほか公共事業の削減で建設需要も減少している。地球温暖化対策も緊急課題となっている。

 今後の発展は中国やインドなどアジアを中心とする新興国の需要をしっかりと取り込むことにかかっている。輸出を含め積極的な海外展開がなければ鉄鋼メーカーは生き残れない。これは日本企業全体に共通する課題だ。

 経営統合は時間との競争だ。ヒト、モノ、カネ、情報という経営資源をどう活用していくのか。「設備の統廃合は考えていない」と言うが、生産体制の集約化は避けられないのだから早急に方向性を打ち出すべきだろう。

 公正取引委員会の審査は重要である。両社は「得意分野が異なるので(統合の)理解をいただけるものと思う」と楽観的だが、国際競争力強化の視点だけでなく国民の理解が得られるよう、しっかりと説明しなければならない。

 

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