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パソコン提携 日中首位連合が直面する試練(2月4日付・読売社説)

 世界のパソコン市場は低価格化などで過当競争が続いている。厳しい環境に背中を押され、日中のトップメーカーが手を結んだ。

 提携したのは、日中両国でそれぞれパソコン首位のNECと、レノボ・グループである。レノボが51%、NECが49%出資して合弁会社を設立し、レノボが実質的な経営権を握る。

 パソコンの開発から生産、部品調達を一体化してコストを削減し、国内や中国など新興国市場での競争力を高める狙いだ。

 しかし、今回の提携の先行きは決して明るくはない。よほどの相乗効果が上がらなければ、パソコン市場で成長を続けることは難しいのではないか。

 NECは通信機器、コンピューターや情報技術(IT)サービスを主力事業とし、パソコンも黎明(れいめい)期から国内業界を主導した。

 パソコンでは一時、海外展開にも力を入れたが、2009年に海外から撤退した。最近は国内も頭打ちで収益力が低下している。

 一方、中国の政府系研究機関の出資で発足したレノボは、05年に米IBMのパソコン事業を買収し、業績を伸ばしてきた。

 今回は、NECのパソコン部門を狙ったM&A(合併・買収)で存在感を示したが、レノボも世界市場シェアは4位にとどまる。首位の米ヒューレット・パッカード(HP)などに差を付けられているのが実態だ。

 業界に吹き始めた構造変化の風も脅威だろう。パソコンと類似した機能を持つスマートフォン(高機能携帯電話)や、米アップルの「iPad(アイパッド)」に代表されるタブレット型端末の急成長である。

 世界各社が新機種を競っており、パソコン市場を急速に侵食しつつある。IT端末の主役が、パソコンから交代する転換期を迎えたと見なければなるまい。

 迫り来る技術革新にどう対応すべきか。NEC・レノボ連合もタブレット型端末の新製品を投入することを検討しているが、技術開発力が問われよう。

 日本にはパソコンメーカーが乱立している。国内全社を合わせても世界シェアは約1割と低い。米国や台湾メーカーなど海外勢の攻勢は激しく、各社とも厳しい経営環境に直面する。

 生き残りを目指すため、海外企業と提携したり、不採算のパソコン事業を切り離したりするなど、日中首位連合に触発された業界再編は不可避とみられる。

2011年2月4日01時17分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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