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2月3日付 よみうり寸評

 〈力士漂泊〉――2日に死去した作家・宮本徳蔵さんの名著。「相撲のアルケオロジー」の副題がある◆「チカラビトはいつ、どこで生まれたか。草原と砂漠のまじりつつ果てもなくつらなるアジアの北辺、現在の地図でいえばモンゴル共和国のしめているところだったであろう」で始まる◆神話、宗教、文化など多角的に相撲の歴史を語った随筆で副題のとおり相撲の考古学。1987年に読売文学賞を受賞した。「相撲が国技だなんて、小さい、小さい。ユーラシアにまたがる数千キロの空間と十数世紀におよぶ時間が背後にあるのがみえないか」◆そんなスケールの大きい視点で相撲を愛した。宮本さん死去の日、相撲界は大揺れだった。それが悲しい。いや、八百長とは言語道断で腹立たしい◆カネで星を売買する卑劣。何よりも長く相撲を愛してきたファンへの重大な裏切りだ。土俵を冒涜(ぼうとく)し大相撲存立の根幹にかかわる。昨年の野球賭博の比ではない◆宮本さんの大きな視点とは別の次元で、国技が漂泊している。

2011年2月3日13時53分  読売新聞)
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