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2月4日付 編集手帳

 衆院議長を務めた故・桜内義雄さんは、ある年の節分の夜、料亭で豆をまいた。〈鬼は外、サクラ内〉――そう言ってまいたと、同席していた国語学者の池田弥三郎さんが随筆に書いている。春を呼ぶ、節分向きの名前というべきか◆「鬼は外」のほうの変形では、以前、本紙くらし面に載った一行詩がいい。作者は2歳の女の子である。〈おにあーそぼ〉◆きのうは、その家、その人さまざまな願いのこもった「鬼は外、福は内」が聞かれたことだろう。明けて、きょうは立春、ふくらみはじめた木の芽に、あるいは伸びていく日脚に、春の足音が聞こえてくる季節である◆あまりうれしくない足音もある。この春に飛ぶ花粉の量は例年を上回り、昨年の10倍を超す地域もあるという。「あしおと」は「跫音」とも書くが、花粉には恐怖の「恐」を連想させるその表記が似合うようである。準備は、どうか怠りなきように◆豪雪地域にお住まいの方は、春の足音に耳をすます気分ではまだないかも知れない。昨夜は豆をまきつつ、「寒いから、中でしばらく暖まっておゆき」と、鬼を追い出しかねた人もいただろう。

2011年2月4日01時17分  読売新聞)
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