HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 03 Feb 2011 02:11:58 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:横綱白鵬が双葉山の連勝記録を抜くかどうかが話題になっていた…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年2月3日

 横綱白鵬が双葉山の連勝記録を抜くかどうかが話題になっていたころ、寄席で落語の「佐野山」をよく聞いた。江戸寛政年間の横綱谷風が十両筆頭の佐野山と千秋楽に対戦、わざと負けるという噺(はなし)だ▼病気の親を抱え稽古もできず、連敗していた佐野山が毎夜、神社で水ごりをしている。そんな噂(うわさ)を聞いた谷風が、懸賞金を取らせようと生涯一度だけの八百長をしたのだ。江戸っ子たちは「いい話じゃねぇか。人情相撲だよ」と谷風をたたえたという▼もちろんフィクションだが、爽やかに感じるのは、孝行息子の佐野山を助けるために、自らの星を差し出した谷風の私欲のなさに共感できるからだろう▼野球賭博で揺れた大相撲界に今度は八百長疑惑が直撃した。日本相撲協会はきのう名前が挙がった力士ら十二人を呼び出した。事実とすれば、春場所を自粛するぐらいでは済まないはずだ▼これまでも八百長の存在は指摘されてきたが、今回は証拠が残っている。押収された力士の携帯電話のメールには「今日はまっすぐぶつかっていく」などと取組の手順を打ち合わせるようなメールや、八百長で授受した金額を示すような数字や銀行口座が記されていた▼番付を上げたい、負け越しをしたくない、借りを返さなくては…。八百長をしていたとしたら理由はその程度の私欲だろう。谷風の情け相撲とは比べるべくもない。

 

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