HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37821 Content-Type: text/html ETag: "15db19-165c-10ff4700" Expires: Fri, 28 Jan 2011 22:21:39 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 28 Jan 2011 22:21:39 GMT Connection: close 国債の格下げ 財政再建の前進で信認回復を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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国債の格下げ 財政再建の前進で信認回復を(1月29日付・読売社説)

 米国の格付け会社、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、日本の長期国債の格付けを「ダブルA」から「ダブルAマイナス」に1段階引き下げた。

 格付けは、民間会社が独自の分析に基づいて示した評価に過ぎず、一喜一憂する必要はない。

 だが、国債の信用力の目安とされる格付けが下がると、国債価格も下がり、金利上昇を招く恐れがある。市場動向への警戒を続ける必要があろう。

 菅内閣は、社会保障と税の一体改革案を6月までにまとめる方針だ。安定財源を確保するため、そこに消費税率の引き上げを明記し、財政健全化への一歩を踏み出さねばならない。

 それが国債の信認を回復する唯一の道である。

 格下げの理由をS&Pは、日本の財政赤字が先進国中、最悪のレベルで、今後も削減が容易ではないとみられるため、と説明している。長引くデフレも財政赤字の解消を難しくする要因に挙げた。

 さらに「民主党政権には債務問題に対する一貫した戦略が欠けている」とも指摘した。

 S&Pは、1年前に格下げを予告している。その後の政権の対応を見る限り、財政再建に向けた本気度や実行力が足りないとの判断に至ったようだ。

 実際、2011年度予算は、41兆円の税収に対し、国債発行額が44兆円にのぼる。借金が税収を上回る異常事態は2年連続だ。

 国と地方の長期債務は、11年度末で892兆円に及ぶ。国内総生産(GDP)の1・8倍を超えており、先進国の中で最悪の状況が続くことになる。

 こうした事態を打開するためにも菅内閣は、思い切った増収策を打ち出す必要がある。

 格付けの引き下げは、その着実な実行を“催促”したものと受け止めることもできよう。

 日本の国債の格付けは、財政不安を抱えるスペインを下回り、中国やクウェートと並んだ。だが、格下げで経済の混乱に拍車がかかったギリシャやアイルランドなどとは事情が違う。

 日本の国債は、95%が国内で安定的に消化されている。冷静な対応が求められる。

 菅首相は格下げについて「そういうことに疎い」と発言、批判された。「詳しく聞いていない」との趣旨だったと釈明している。

 財政再建に指導力を発揮すべき首相の言葉としては、不用意だったと言わざるをえまい。

2011年1月29日02時04分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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