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ベトナム党大会 新指導体制で改革の加速を(1月28日付・読売社説)

 一党支配を続けるベトナム共産党が新指導体制の下、改革路線を一段と強めようとしている。

 5年ぶりに開催された第11回共産党大会で、新たな書記長にグエン・フー・チョン国会議長が選ばれ、10年ぶりに党トップが交代した。

 チョン氏は25年前に始まった党支配下での市場経済化を目指す「ドイモイ(刷新)」の理論的支柱である。人柄は温厚で、見識も豊かだと言われる。

 チョン氏は「ドイモイを加速し経済改革、国際社会との協調を積極的に進める」と就任後の記者会見で抱負を語った。

 喫緊の課題は、10%近い物価上昇が続くインフレへの対策だ。過去10年余り、年平均で7%を超える経済成長に伴って、国民生活は着実に向上した。だが、貧富の格差も拡大した。役人の汚職の構造は相変わらずだ。

 社会の安定が確保されなければ、海外からの投資誘致にも影響する。国民の間の格差是正や汚職対策は欠かせない。改革推進の優先課題にすべきだろう。

 党大会で採択された2020年までの「社会経済発展戦略」では「20年までに近代的工業国になるための基礎を作る」とした。そのためにハイテク産業を育成し、産業構造の転換を目指す方針だ。

 今後5年間の成長目標は7〜7・5%に設定した。金融危機で低迷した景気は持ち直しており、実現が難しい数値目標ではない。

 対外的には中国への過度の貿易依存からの脱却が課題だ。貿易赤字(129億ドル、09年)の9割余りを、対中貿易が占めている。

 ベトナムが昨年秋、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を表明したのは、対米輸出を拡大して、対中赤字を減らそうとする政治的判断なのだろう。

 中越間では、領海などが接する海域で操業する双方の漁船によるトラブルが絶えない。党大会で改めて「海洋や島嶼(とうしょ)部での主権を堅固に保持しなければならない」と強調したことは理解できる。

 日本はベトナムにとって最大の援助国である。年間1500億円規模の政府開発援助(ODA)のほか、両国間では一昨年、経済連携協定(EPA)が発効した。

 原発の建設や希少金属のレアア
ースの共同開発も決まった。両国の協力が可能な分野は多い。

 最終的な指導体制は、5月の国会議員選挙の後に招集される国会で固まる。新指導部の発足を機に日本はベトナムとの関係を一層深化させていくべきだ。

2011年1月28日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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