HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 27 Jan 2011 23:11:54 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:オバマ演説 米国再生へ滲む危機感:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

オバマ演説 米国再生へ滲む危機感

2011年1月28日

 世界は一変し、ルールも変わった。米国は自らを創り直さねばならない−。オバマ米大統領が行った一般教書演説は、台頭する新興勢力との競争で後塵(こうじん)を拝しかねない危機感を滲(にじ)ませるものだった。

 ほぼ内政問題に終始した演説で、オバマ大統領は四段階に分けた再生へのシナリオを提示した。

 第一段階は、医療、太陽光エネルギーなど次世代の競争力の鍵を握る先端技術で主導権を回復すること。第二段階は、その実現を担う若者の教育制度の充実。第三段階は、ネット社会に即した社会インフラの整備だ。

 技術開発競争に勝ち、先端企業を呼び込むことで雇用も投資も拡大する米国の成功物語の再現を図る構想が浮かぶ。旧ソ連の人工衛星スプートニクに後れをとりながら、アポロ計画で巻き返したケネディ時代を一例に挙げたのはその表れだろう。

 しかし、裏を返せば、新興経済勢力の著しい影響力拡大を前に後手に回りかねない状況を自ら認めたことでもある。韓国、中国、インドなど、成長著しい国名が成功例として繰り返し登場した。あえて危機感を訴え、国民を鼓舞する狙いは理解できる。

 最大の課題は第四段階としてあげられた財政再建だ。金融危機への対応として実施された巨額財政出動や、事実上の国民皆保険に道を開いた医療保険改革など、オバマ政権が任期前半の実績として掲げる政策は、共和党の批判する「大きな政府」に伴う財政負担と表裏をなしている。

 減税を含む二十五年ぶりの法人税改革や政策的経費の伸びの五年間凍結、財政規律回復など、共和党を意識した政策が機能するのか。不況は最悪の状態を脱したとされ、雇用状況も好転の兆しを見せてはいるが、経済が自律的な成長軌道に戻ったとは言えまい。昨年の中間選挙後、下院で過半数を失ったねじれ議会を抱えるオバマ大統領の手腕が問われよう。

 ギフォーズ民主党下院議員が狙撃されたアリゾナ州の銃乱射事件を受けて、会場では超党派の連帯感を示す小さな試みが見られた。両党議員が左右に分かれ別々に着席する慣例を破り、各議員が自由に並んで座れるようにしたのだ。一時の演出で終わらせてはなるまい。 

 米国が持つ復元力は初の黒人大統領を実現した歴史自体が物語っている。その米国建国理念が秘める力を引き出せるのか。文字どおりの正念場となろう。

 

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