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1月26日付 編集手帳

 ドイツ軍による空爆直後の惨憺(さんたん)たるロンドン市街で、ある商店が看板を掲げていた。破壊された窓枠に打ち付けたもので、ぞんざいな手書きのお知らせにいわく〈平常通り以上に営業中〉◆“以上に”が効いている。ケン・フォレットの小説『針の()』(創元推理文庫)の一場面が実話か創作かは知らない。どちらであれ、「怖がれ、震えあがれ」という理不尽な襲撃が結局は、相手の対抗心を強固にするだけで終わることを教えている◆自爆テロで多数の犠牲者が出たモスクワ・ドモジェドボ国際空港は、3時間後には発着が「ほぼ遅れのない状態」に戻ったという。平常通り以上に営業中――復旧を急ぐことでロシア当局は、テロに屈せぬ姿勢を内外に示したのだろう◆どういう主義主張があるにせよ、国際社会がテロリストの側に共感の一票を投じることは断じてあり得ない。罪もない人々の命を奪って、世界を敵に回して、何を手に入れるというのか◆歌人の土岐善麿(ときぜんまろ)に、戦争を詠んだ歌がある。〈遺棄死体数百といひ数千といふいのちをふたつもちしものなし〉。たった一つの命である。愚行は、もうよせ。

2011年1月26日01時43分  読売新聞)
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