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1月25日付 編集手帳

 歌舞伎界のスターであった十五代目市村羽左衛門に、競馬場での挿話がある。羽左衛門が来ているらしいわ、どこにいるのかしら…と、女性客がざわめきだす。ご本人が手を挙げて言った。「は〜い、ここですよ」◆私的な時間を世間の耳目で乱されることに、誰もが十五代目のようにおおらかなわけではない。耳目どころか簡易ブログ「ツイッター」という“口”を世間が備えた現代は、顔の売れている人には受難の時代であろう◆「うちの店に××が彼女と一緒に来たよ」。ホテルやレストランの従業員が、客として訪れた著名人の行動を暴露し、店側が謝罪する騒ぎが相次いでいる◆従業員も無傷では済まないらしい。“犯人捜し”の末に実名や顔写真がネット上にさらされた事例もある。店の信用を傷つけて損害賠償を求められる可能性もあるとか。目撃談を開陳したいのなら、友人や家族にとどめておくのが賢明なようである◆客の秘密を守る職業倫理――などと堅苦しい話を持ち出すまでもない。切られ与三(よさ)やお祭佐七など、粋な人物を当たり役にした羽左衛門ならば言うだろう。「ヤボは、よしねェ」

2011年1月25日01時38分  読売新聞)
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