HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Tue, 25 Jan 2011 01:09:25 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:菅首相演説 変節批判に弁明がない:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

菅首相演説 変節批判に弁明がない

2011年1月25日

 行き詰まり感をぬぐって政治は前進できるかどうか。新しい年の国会が開幕した。軽い言葉の氾濫や与野党のなじり合いはもうたくさん。論戦を熟議へリードする責任は菅直人首相にある。

 年頭の施政万般にわたる演説は菅首相にとって初めて。年明けの内閣再改造と民主党人事に追われたとはいえ、草稿を周到に練る時間は十分あったようである。

 国民の耳目を多分に意識した作りとなった首相の演説は、野党、とりわけ自民と公明党との政策合意実現へ、ひたすら身をかがめて、すり寄ることで異彩を放っている。

 たとえば社会保障や税制の抜本改革で首相は、超党派の円卓会議や社会保障協議会の設置といった自公両党の提案を丁寧に紹介し、「問題意識と論点の多くは既に共有されている」として「各党が提案するとおり、与野党間で議論を始めよう」と呼び掛けている。

 足元の与党も含め内外に慎重論の根強い環太平洋連携協定(TPP)参加をめぐっても、六月をめどに結論を出すとして、与野党に意見を持ち寄るよう促した。

 四月には統一地方選があるし、参院の過半数を野党に握られた窮状は変わらない。負担増や社会的影響の大きい政策で「国民参加の議論を」と首相が訴える事情はわかる。しかし、殊勝な言葉にも多くの人が違和感を否めない。

 野党が声を荒らげている。マニフェストの変質と変節。それにどう始末をつけるのか、と。私たちも同感だ。無駄の排除で十数兆円の財源を作る約束と、二年続けて赤字国債が税収を上回る現状とに首相は説明を尽くしていない。

 与謝野馨氏を中枢に迎えて消費増税の旗振り役を委ねたのも同じことだ。野党は追及の手ぐすね引く。甘く考えない方がいい。

 政権交代からわずか一年半で、これといった弁明や反省もなく自公の政策に抱きつくようでは、何のための政権交代だったかと批判されても仕方なかろう。

 もう一つ、首相演説は小沢一郎氏の問題には直接触れず、政治資金透明化や企業・団体献金禁止も与野党協議を期待した。政治とカネにけりをつけるとの、あの意気込みはどうしたか。

 「国民の皆さま」とへりくだる文句がやたら目立つ演説は、世論の支持を回復できずにいら立つ首相の心境の裏返しでもある。

 本心で熟議を望むなら批判にさらされる覚悟と、ひたむきに理解を求める姿勢。それしかない。

 

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