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1月23日付 編集手帳

 〈雑踏の歩行者天国何時(いつ)来ても逝きたる吾子(あこ)の姿は見えず〉。10年ほど前に西部本社版紙面の「よみうり西部歌壇」に載った秀歌である◆何かの事情でお子さんを亡くしたその人は、我が子が日曜日のつど出かけていった歩行者天国にいつの間にか足を向け、にぎやかな人混みの中に「もしや…」と姿を探すのだろう。切ない歌として印象に残っている◆ましてそこが、我が子が命を奪われた現場ならば――そう考えると胸がつぶれる。東京・秋葉原の無差別殺傷事件で中止されていた歩行者天国がきょう23日、2年7か月ぶりに再開されるそうだ◆地元の住民や電気街の関係者は、事件以来、週末に30〜40人態勢でパトロールするなどして、安全な街の雰囲気作りに努力してきた。まだ試行措置というが、ぜひ永続的な再開につなげてもらいたい◆道路いっぱいに人があふれる「アキバ」が戻ってくるのは喜ばしいことだ。だが、その様子を報じるテレビの画面に顔を寄せ、あるいは秋葉原の歩道にたたずんで、「もしや」と亡き姿を探す人が、どれほど大勢いることだろう。理不尽な犯行に改めて怒りがわく。

2011年1月23日01時13分  読売新聞)
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