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GDP世界2位 「昇竜中国」にも課題は多い(1月21日付・読売社説)

 中国が2010年の国内総生産(GDP)の規模で日本を抜き、世界2位の経済大国になることが確実になった。

 中国政府が20日に発表した速報で、昨年の実質成長率が10・3%を記録し、名目GDPが39兆7983億元(約5兆8790億ドル)に達した。

 日本の昨年の名目GDPは2月に公表されるが、5兆4500億ドル程度にとどまる見通しで、中国を下回ることが確定的だ。

 日本は1968年以来、米国に次ぐ2位を42年間守ってきた。しかし、バブル経済崩壊後の長期低迷が響き、ついにその座を明け渡すことになった。歴史的な日中逆転である。

 しかし、中国経済には問題が山積している。1人当たりGDPは約4000ドルと日本の10分の1にとどまり、都市部と農村部、沿岸部と内陸部で所得格差も大きい。格差を是正し、均衡ある発展を実現できるかどうかが課題だ。

 中国経済が急成長した要因は、安価で豊富な労働力を武器に、外資を積極的に受け入れたことだろう。「世界の工場」として投資が急増し、輸出主導による経済成長に成功した。

 08年の金融危機とその後の世界不況も、大型の景気対策でいち早く克服した。北京五輪や上海万博などの国家的イベントも、経済成長の追い風になったようだ。

 ところが、最近では、景気の過熱に伴い、食料品などの物価が高騰し、不動産バブルが生じていることが最大の懸念材料だ。

 中国当局が昨年末、金融政策の方針を転換し、利上げを2回実施するなど、金融引き締めに動いている。これは当然の対応だが、インフレ抑制の効果は限定的だ。バブルが加速する気配もある。

 急激な引き締めによる景気失速を避けつつ、景気過熱をどう沈静化するか。(かじ)取りは極めて難しい。中国経済の安定が、世界経済の本格回復の行方を左右しよう。

 人民元改革もまだ途上だ。為替介入で元高を抑制しているため、過剰マネーが市中にあふれ、物価上昇を招いている。

 為替介入の結果、昨年末の外貨準備高が約2・8兆ドル(約236兆円)に達したのも異常である。経済力に応じた元の切り上げを着実に実現すべきだ。

 中国にとって重要なのは、過度に輸出に頼らない、内需主導型経済への構造転換である。地球温暖化対策など、グローバルな課題で果たすべき役割も大きい。経済大国の責任はますます重くなる。

2011年1月21日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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