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1月20日付 よみうり寸評

 「雪崩は山に限らない。峰の形をしたところなら、どこでも起きる」と江戸時代、越後の人・鈴木牧之は著書の「北越雪譜」に書いた◆「寺の雪崩」という一章。屋根から落ちる雪に巻き込まれた牧之の伯父である和尚の話だ。2階の窓のひさしから下がった五、六尺もあろうかという大きな垂氷(つらら)木鋤(こすき)で打ち折ると――◆その響きで本堂の屋根に積もった雪がぐらぐらと雪崩のように落ちてきた。和尚は雪崩の勢いで近くの池をも越えて押し流された。雪に埋まっていたのを救出されたが「万死に一生の天幸」◆そんな恐怖が北越雪譜から170年後の今も北海道や越後をはじめ日本海側の豪雪地帯では厳しく変わらない現実◆屋根の雪下ろしを雪譜では「雪掘り」と書く。雪掘りで滑って転落したり、下ろした雪に埋まったりで多くの命が失われている。多くは高齢者であるのが痛ましい◆北越雪譜は江戸期の雪国百科全書。随所に「暖国の人に見せたく思う」という記述がある。きょう20日は大寒。雪国の友の無事を祈る。

2011年1月20日14時10分  読売新聞)
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