HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 17 Jan 2011 22:10:22 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:名古屋の乱 自治を考え直す好機に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

名古屋の乱 自治を考え直す好機に

2011年1月17日

 名古屋の河村たかし市長が呼びかけた議会解散を問う住民投票と出直し市長選、そして愛知県知事選が始まる。新しい時代にふさわしい自治とは何か。住民一人一人がよく考える好機にしたい。

 住民投票はきょう十七日告示され、二十日に知事選、二十三日には市長選の告示と続く。いずれも二月六日の投開票となる。

 二年前の市長選で圧勝した河村市長のキャッチフレーズは「庶民革命」。「議会は貴族だ」と議員報酬の半減を突き付け、反発した議会は市長の最大公約の市民税10%減税を「財政難で無理」と一年限りで打ち切った。

 ともに市民から選ばれた市長と議会という地方自治の両輪がそっぽを向き、動かなくなった。

 河村市長と支援団体の呼びかけで、議会解散を求める市民の署名は三十七万人分も集まった。議会解散をかけた住民投票は政令指定都市では初めて。市民から高い支持を受けている現職市長が、任期途中にいったん辞職してすぐ出直し市長選に出るのは異例だ。

 現職知事が引退する知事選は任期満了によるものだが、衆院議員だった大村秀章氏が自民党を飛び出し、民主党出身の河村市長と組んで出馬する。民主、自民という政党の枠組みが崩れ、威信を失ったかつてない選挙といえる。

 三つの投票は連動する面を備える一方、それぞれに問われるべき課題を抱えている。

 住民投票では、減税の恒久化や議員報酬半減に反対する今の議会が民意を反映していないのか、自ら改革する能力はあるのか、だ。

 減税は不況で家計の苦しい市民には朗報だし、税金をいかに無駄なく使うか市役所に意識改革を迫る効果がある。しかし、一般会計で一兆八千億円にものぼる市債発行残高があるのに、年二百二十億円かかる減税を続けていいのか。

 市長選では、福祉や教育など暮らしに密着した政策も争点にすべきだ。知事選では出馬予定の五人は中京都構想や東海三県合体構想など、地域主権をにらむが、果たして現実的なのか。

 四月に統一地方選のある今年は「地方自治元年」になるとも言われる。中央から地方への権限移譲の動きは掛け声から現実に変えねばならない。実験ではなく実際になろうとしている。

 名古屋のトリプル投票はそういう目で注目したいし、何より住民が住民のための自治の未来をいま一度考え直すいい機会にせねばならない。

 

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