鉄道のダイヤをつくるような運行管理に携わる人を、その世界では「筋屋(すじや)」と呼ぶらしい▼旧国鉄時代など、ダイヤ改正時には、腕っこきの筋屋が各鉄道管理局から集まり、駅と時間を示した大きな図に定規を当て、列車運行を示す「筋」を引き合ったらしい。乗り継ぎをよくしたいなど、それぞれに主張があるため、結構、激しくやりあったのだと、以前、元国鉄マンに聞いたことがある▼ダイヤというと、時刻表を思い浮かべる人も多かろうが、ダイヤグラムという語の本義も「線図」。筋屋とは、だから実態に即した呼び名なのである。もっとも、今のダイヤ編成は、ご多分に漏れず、コンピューターが活躍しているそうだが…▼さて、昨日は広い範囲で、その鉄道ダイヤが乱れた。東海地方は常ならぬ大雪が続いたため。さらに東北、長野など五つの新幹線が一時、運行できなくなった。こちらは、JR東日本の運行管理システムのトラブルが原因▼荒天と機械の不調はダイヤを乱す二大原因だろうが、それが二つながら出来したわけだ。大変な数の客が影響を受け、後者では、裁判官が間に合わず、裁判開始が一時間遅れたケースもあったと聞く▼通常ダイヤ回復までの運行は一種の修羅場だろうが、JRによると、そういう時は、手作業で「筋」を引き直すのだそうだ。いざという時は、やはり、人なのである。